キャメロット新作ゴルフゲーム「WE LOVE GOLF」〜販売元はカプコンに

日本でゴルフゲームといえば「みんなのゴルフ」が圧倒的な存在感を見せているのですが、その1作目を制作した会社がキャメロットという会社でした。みんなのゴルフは、そこから開発メンバーが独立して「クラップハンズ」を設立、開発を続けている形ですね。そして、そういった状態でありながら、残ったスタッフで今度は任天堂ハードで「マリオゴルフ」シリーズを制作。こちらもなかなかの評価を受けており、ゴルフゲームに関しては定評がある感じですね。

マリオテニス黄金の太陽シリーズなど、任天堂といい補完関係にあるかと思われていたキャメロットですが、その後何を思ったか急遽任天堂から離反、ソフトバンクグループと組んでオンラインゴルフゲーム「ゴルフだいすき!」を開発することに。

ELEVEN-UPとキャメロット、オンラインゴルフ「ゴルフだいすき!」を発表

このニュースは、かなり任天堂ファンからの反感を買ったでしょうね。しかし、そんな「ゴルフだいすき!」も、明らかにトラブルがあった模様で、公式ページなどは消失。完全に計画は頓挫していました。

浮気性のキャメロット、今度はカプコン販売に

そんなキャメロットから新たにWii向けにゴルフゲームが販売されることになったようです。

カプコンとキャメロットが夢のコラボレーション!! 『WE LOVE GOLF!(ウィー ラブ ゴルフ!)』【映像インタビューつき】 / ファミ通.com
カプコン、「Wii&DS 新作タイトル発表会」開催 キャメロットと手を組み、Wii「WE LOVE GOLF!」を今冬発売

ゲーム名はWE LOVE GOLF。英語ばっかりでちょっと堅い感じがするのが、ライトに受けが悪いのでは?と感じてしまいますね。販売元は任天堂ではなく、なんとカプコン。正直、これまでのカプコンのカラーと合わない印象ですよね。公式ページは以下のところです。

CAPCOM | WE LOVE GOLF!(ウィー ラブ ゴルフ!)

ゲームの見た目は、あきらかに「ゴルフだいすき!」のものの使い回しのイメージですね。以下の「ゴルフだいすき!」の時の記事を見ると、女性キャラ、男性キャラのデザインがそのままなのが分かると思います。

【4Gamer.net】[プレビュー]ゴルフだいすき! 〜 I LOVE GOLF! 〜
オンライン対戦ゴルフゲーム「ゴルフだいすき! 〜I LOVE GOLF! 〜」の限定テスト:Slash Games (オンラインゲーム総合サイト) 2006/08/01

この辺の使い回し感を見ても、ゴルフだいすき!からWE LOVE COLFまでなにやら裏にあった感じがしますよね。どういった経由でカプコン販売になったか、その裏でドロドロしたものにも興味があるところです。

キャメロット&高橋兄弟について

元々、キャメロットの代表やっている高橋兄弟って、なんか「移り気」ってイメージが強いんですよね。

キャメロット (ゲーム会社) - Wikipedia
高橋宏之 - Wikipedia
高橋秀五 - Wikipedia

最初はドラクエ開発からの独立でソニックを設立。しばらくセガハード中心に開発しており、自分はメガドライブユーザだったので、シャイニング&ザ・ダクネスシャイニング・フォースでなじみ深いところですね。ただ、自分の好きな初代シャイニングフォースなんかはどちらかというと内藤寛氏とクライマックスの色が強い印象。その後高橋兄弟が主で開発したシャイニングフォースIIはなんか、子どもっぽい感じの薄っぺらい印象で、あまり好きになれませんでした。その後、セガサターンの初期に出たシャイニング・ウィズダムも似たような印象のこっちは完全なクソゲーで、自分中では彼らの作品に対しては見切りをつけた感じです。ただ、その後彼らが関わった作品として、みんなのゴルフ初代や黄金の太陽マリオゴルフマリオテニスの評判はいいので、実際にはいいゲームを作っているのだとは思いますが。

でも、元セガユーザとしては、PS向けに出したり、任天堂向けに出したりと、拙走がない感じはあんまり好きになれませんね。しかも、どこでも結構貴重な人材として扱われている感じで、そういった場所を選んで渡り歩いているんじゃないかという感じもしちゃうんですよね。任天堂捨ててソフトバンクの方に行ったのも、そういったいやーなイメージがしたものです。そして今度はカプコンですからね。なにやってんだか、という感じはします。

リアルなゴルフ感の実現を目指すゲーム性

とはいえ、WiiSports移行、ゴルフゲームとして操作のリアリティを追求したソフトがあまり出ていない中、ゴルフゲームで実績のあるキャメロット。実際にゴルフをコースでプレイもする自分としては、非常に興味深いタイトルではあります。特に、操作性をかなり実際のゴルフと近づけている感じなんですよね。

みんなのゴルフとかパンヤとか、たしかに「ゴルフゲーム」としてはシンプルで面白いのですが、何分リアリティがないんですよね。あまりに完璧にプレイで来すぎて。というか、難易度的にも完璧なプレーをしないとダメという感じですし。実際のゴルフではトップやダフリはしょっちゅうでますし、ボールをまっすぐ飛ばすことすら難しいところがあります。そういったリアリティが、特にボタンを押すだけのゴルフではあくまでタイミングゲームになっていて、リアリティが弱いと感じます。

WiiSportsのゴルフは、そうしたアナログ的な難易度は表現できていました。距離表示もあくまでキャリー(飛んで直接届くところまで)での表示で、ランの部分は別途読む必要があったり、素振りで強弱を合わせ、そのとおりに打つのなんかはリアリティがありました。ただ、スライスとフックが出るのが「強く不利すぎるとランダムで」というのが、あまりにリアリティがないんですよね。クラブもドライバー、アイアン、ウェッジ、パターしかなく、「距離に合わせてクラブを変え、フルスイングする」というゴルフではあたりまえの戦略がとれないところも、不満に思ったところです。振り幅で距離感つけるのは、基本的にはウェッジでのよせのケースが多いので。

その点、このウィーラブゴルフは「操作のリアリティ」はかなり意識している模様。手首の返しに関してはかなりシビアに検知しているようですし、ショット時もTV画面にクラブが表示され、実際のゴルフで意識しなければいけないクラブヘッドの軌道、スイング面というものも意識したスイングが必要なのかもしれません。このあたりは、DSで出た「大人のDSゴルフ」とも通じるものがあるかもしれませんね。あれも、スイングの軌道でスライスやフックを打ち分けられたので。

あとは、バックスピンの打ち分けなどはWiiリモコンを握ったときに押すボタンを変えることで行う模様。インタビュー動画で少し語られていますね。

『WE LOVE GOLF!』スペシャルインタビュー - やり込み・新作ゲーム映像満載 ファミ通WaveTV

この「ボタンを押す」というのがどの程度複雑さを持っているかはちょっと気になるところがありますね。正直、うちの親などだと、ボタンは2個ぐらいの使い分けが限度。3つ4つとボタンを使い分けないといけないようでは、非ゲーマーではちょっときついかもしれません。まあ、実際のゴルフでも自分なんかは狙ってスピンなど打てませんし、こうした「ボタンを使ったショット打ち分け」が出来ることも、スキルの一つとしてもいいのかもしれませんが。

「ゴルフゲーム好き」に受け入れられるか?

以上、自分が実際にゴルフが好きなので、その視点でいろいろ述べてみましたが、気になるのは「ゴルフゲームとして受け入れられるかどうか」というところですね。基本的に今回のソフトはWiiで入った新規客層をねらったものだとは思うのですが、ゴルフゲームという特性から、みんなのゴルフ好きなどのゴルフゲームをやってきたゲーマーも多く興味を持つでしょう。こうした人は、結構今までのいわゆる「チャーシューメン」のボタン操作にこだわりがあり、しかも自分の腕に自信を持っているんですよね。操作性が変わって、思い通りのショットができないことに不快に思う可能性があります。このあたりは、忍さんが「大人のDSゴルフ」のレビューで書いていたことで強く感じたところです。

「チャー・シュー・メン」でいいじゃないか「大人のDSゴルフ」|忍之閻魔帳

ゴルフをリアルにやっている自分からすると、正確無比にショット打てる方が不自然極まりないのですが、みんなのゴルフなどは正確無比にショットして当然のバランスになってますしね。実際、みんなのゴルフなどでの掲示板の議論を見ていても明らかに実際のゴルフをしたことがないと思われる発言も結構見かけますし、ゴルフゲームにはそういった特有のゲーマーも集っているということでしょう。「ゴルフ好き≠ゴルフゲーム好き」という感じで。

そうした既存の価値観とどの程度折衷できるかが、このWE LOVE GOLFの壁となる気はしますね。これまで出た特殊な操作性のゴルフゲームは、どうしてもこの壁に跳ね返されてきた感じはしますし。Wiiは全般的にそういった既存ゲームの価値観への挑戦が強く存在し、ゲームをやり込んでいる人ほど保守的な考え方にとらわれがちです。ファミ通ニンドリなど、「WiiSportsの攻略法!」とかいってリアルとはほど遠いリモコンの振り方を特集組んでいたりしますしね。

新たなゴルフゲームを実現できるか

こういった「ゲーム的思考」にとらわれないような魅力、リアリティをこの「WE LOVE GOLF」が実現できているのか、その辺がポイントとなってくるでしょう。Wiiに限らずバーチャルリアリティを目指すゲームでは問題になってくる課題だとは思いますけどね。従来のボタン操作からの脱却をめざした「WE LOVE GOLF」。みんなのゴルフマリオゴルフを送り出したキャメロットが果たしてどの程度の完成度の作品を出してくるか。東京ゲームショウで体験台が設置される模様なので、実際に体感するのを楽しみにしたいと思います。