リモコンで気ままな海洋散策 〜 『フォーエバーブルー』レビュー

Wiiの夏商戦向けタイトルとして最後に登場した『フォーエバーブルー』。

フォーエバーブルー - Wii

フォーエバーブルー - Wii

発売前から一部ファンでは注目され、自分も期待していたタイトルでしたが、発売日当日にフリーズバグという致命的不具合発覚で、ちょっと水を差された感はあります。

わぱのつれづれ日記 - 任天堂、連日の不具合発覚 〜 Wii新作「フォーエバーブルー」でフリーズバグ

ただ、ゲーム自体はまったり楽しめる割にいろいろとイベントなどもリズムよく起きて好印象。ゲーム詳細のレビューはすでにRistrettoさんのレビューが詳しいものがありますが、主に自分は主観を中心にレビューしてみたいと思います。(プレイ時間は大体5時間ほど。進行としては深海探索をクリアした段階でのレビューとなっています。)

キャラメイキング

まず、「はじめから」を選ぶとゲーム中に登場させるキャラの作成から始まります。名前をつけるわけですが、ゲーム中では特にこの名前で呼ばれることはありません。ゲームの雰囲気に合わせてちょっとかっこよさげな名前を付けようかとも思いましたが、特にそうした配慮は必要なさそうです。主にWi-Fiでやりとりするさいに影響するんでしょうね。

髪型も指定できますが、これはあとから変更できます。日焼け具合は今のところ最初しか選べない感じですかね。もしかすると何らかの手段で変更できたりするのかもしれませんが。

個人的には、Miiほどとはいいませんがもう少しビジュアルをカスタマイズできるようにしておいて欲しかったところです。髪型も2種類しかありませんし。顔も形や目鼻のパーツなどいじれるようにしてくれると、より自分の分身という感じで没入感が増しそうに思うんですけどね。

船上での操作

船上では、ゲームの進行につれて様々な要素が選択できるようになります。イルカと知り合うとイルカの調教ができるようになったり、宝物を発掘すると宝物ボックスが使えるようになるなどです。また、デッキには様々な動物が来訪してきて、にぎやかな状態にもなりますね。ペンギンが癒されます。船上での移動もリモコンでのポインティングで可能。Bボタンでポインティング箇所へ向かってある気、キャビンなどをダイレクトにポインティングしてAボタンを押せば瞬時に移動もしてくれます。Bボタンでの移動は、できればもうちょっと駆け足でもよかったかな、という印象。歩きしかないので。それ以外に、デッキチェアに寝そべってまったり風景を楽しむこともできます。このとき、視野は変更できないのですが、左右に見渡すぐらいの操作はあってもよかったかも、という印象です。視点は結局、船の停泊している場所次第という感じですね。

キャビン内での操作

キャビン内も、同様に進行に従ってやれることが増えてきます。小型端末ではメールが頻繁に送られてきます。ガイドの依頼などもここですね。ガイドの感想などもいろいろと帰ってきて、上手なガイドをすると絶賛メールになって帰ってくるのがむずがゆい感じですw。その他にも調査依頼や写真依頼など、クエスト要素が満載で、これをこなしていくだけでも楽しめますね。

その他、ゴーグルを選択すると装備変更などが出来ますが、これはあくまで見た目の変更だけ。性能差などはありません。この辺も賛否分かれそうなところですね。まあ、見た目を色々いじくる、というのはこの手のまったり自由に楽しむゲームでは重要な要素だと思います。どうぶつの森とかもそうですしね。

写真は、海で撮影したものから好きなものを現像し、アルバムに保存することができます。ただ、保存できる枚数が結構少ないので、ある程度厳選して残す必要がありそうです。Ristrettoさんのレビューでは写真だと大きく画質向上というような話がありましたが、自分が撮影したものを見る限りでは実際の海中の時の映像とそれほど大きな差は感じませんでした。見比べてみるとまた違うのかもしれませんが。

その他は、操舵を操って船の移動も可能。潜るときには船の周辺の一定領域しか潜れないので、どこに船を置くのかはそこそこ重要ですね。助手に話しかけると、度々次の目的地などを教えてくれ、1を押すと見られるマップに×印がつきます。その場所への移動などにも、この操舵の利用が必要になりますね。

海の中での操作

さて、いよいよメインとなる海の中での操作です。ポインティングの指す方向に向きが変更され、Bボタンを押すと前進という操作。結構これ癖がありますね。思わず前進の時もAを押してしまいます。もっとも、Aボタンはメインのポインティング操作に使われているので仕方ないかもしれませんね。Bボタンでポインティングというのはより一層いまいちでしょうから。

で、そのポインティングですが、魚や海獣ポインティングするとカメラがロックオンされ、お障りモードに。単にAボタンでポインティングすると「つつき」、Aを押しながらリモコンを振ると「なで」になります。これ、単なるコマンド入力に過ぎなかったのはちょっと残念。つつく動作なら、ちゃんとポインティングした箇所をつつくようにして欲しかったです。なでる動作も、結構振らないと反応せず、一旦なで始めたらリモコンの向きは関係なし。これじゃボタンで「なでる」ボタン押しているのとあんまり変わらない気が。Aボタンを押しながらポインティングカーソルを魚の上に合わせることでダイレクトになでる操作の方が直感的な気はするんですけど。まあ、コマンド入力形式なので慣れてくるとなでる操作が出しやすいというので、その辺の利便性を考慮したのかもしれませんが。

あと、ぶっちゃけ魚を「なでる」とか「つつく」ということで友好度が上がっていく、というのはリアリティは全くないですよね。そもそも個体が違うものを触っても共通で親密度が上がるというのも、めちゃくちゃな設定です。まあ、ゲームだからありということなのかもしれませんけど。新しい魚を探して、なでて親密度を上げて、図鑑を埋めていくという収集要素は、まったりと黙々と楽しむのにはいいです。どうぶつの森の釣りと同じノリですよね。あれも「なんでクリオネが釣れるねんw」とかありますし。この非現実なゲーム要素というのも、任天堂的センスな感じはします。

それ以外の操作としては、−ボタンでBボタン押さずともオートで泳ぎ、+ボタンでは注目箇所を拡大できます。拡大についてはリアルに拡大するのではなく、別の映像に切り替わる感じですね。同じような地表なら、みな拡大しても同じシーンになったりします。何か小動物がいたりする箇所は虹色のマークが、アイテムなどがあると光が点灯したりしています。これらに気が付くためにも多少地表や岩壁寄りに泳ぐのが基本ですかね。

ガイドでの操作

メールを通じて、ガイドを依頼されることがあります。このガイドでは、客から見たい魚の要望などがだされるのですが、メールの時点ではダイビングポイントの指定のみ。実際にガイドの段階になってその見たいものの指定が出されます。自分の場合、二人目のガイドの時に、ロックランドのポイントを指定され、客のレイモン氏から言われた見たいものというのがなんと「シノノメサカタザメ」!自分もフリーズ現象を再現したくて探しており、まだ見つけていないときだっただけに、思わずふきだしてしまいましたね。このガイド、個人差があるかどうかは分かりませんが、こうして客から指名されるぐらいですから、あのフリーズバグの深刻さが分かりますね。(ちなみに、自分はI-3あたりの深いところで発見しました。発見後セーブし、早速アクアリウムに行ってためしてみたところ、見事フリーズしましたw。)

ちなみにガイドでは、指名されたものを見せると大体満足してくれるようです。あとは適当に魚を案内していれば高評価をもらえるかと。ただ、起伏のとんだ箇所だと地底スレスレで泳いでいるとこちらを客が見失ってしまうことがあります。このときはBGMもデフォルトのものを選択していると緊迫感のある曲に切り替わり、ちょっと焦りますね。Bボタン+リモコン振りでクイックターンができるので、これを活用するのが良さそうです。

システム・グラフィック関連

さて、一通り操作やモード関係の話をしてきたので、後は全体のシステムやグラフィックなどについて。まずグラフィックですが、Wiiの中ではかなり綺麗な方である印象です。特に海の中はかなり綺麗ですね。青色がベースでそれほどコントラストも高くない分、ジャギもそれほど目立ちません。ただ、船上に上がると、やはりSD解像度の限界を感じてしまいますね。明るく、コントラストも強いだけに、露骨にジャギが見えてしまいます。また、人物も肌とかはべた塗りですし、話しているときの口パクなどもなく違和感は大きいです。グラフィックの綺麗さを楽しみながらバーチャルな空間に浸るゲームなだけに、できればHD解像度とかでやりたかったな、と思うところはあります。まあ、Wiiリモコンとの相乗効果もあるゲームだけに、無理な相談ではあるのですが。一応、プログレッシブ&ワイド対応しているのは及第点というところでしょうか。任天堂も各種展示会でさんざんHD液晶ディスプレイ使っているんですから、全ソフトプログレッシブ&ワイド完全対応ぐらいはガイドライン化して頂きたいところですね。

また、システム面ではロードが結構気になります。ロードの頻度自体はそれほど多くありません。海に潜る前も一度にデータを読み込んでしまい、海中ではエリア切り替わりなどで若干ロードする程度でほとんど気になりません。ただ、この海に潜る前のロードがとにかく「うるさい」。ガチャガチャガチャという音が数秒間続くので、かなり耳障りです。Wiiは普段のディスク回転音などは比較的静かなのですが、このアクセス音がうるさいのがマイナスですよね。

その他、ゲーム中の時間は何もしなくてもどんどん経過してしまいます。今このエントリを書いている時もゲームは起動しているのですが、油断すると1日とか経過しちゃうんですよね。こういったときに、ゲーム中の時間を進めず一時停止する方法としては、Wiiリモコンのホームボタンを押すことがおすすめです。これならば時間は進みませんからね。ただ、HOMEボタンメニューから戻るときに間違って本当にWiiのホームに戻らないよう注意する必要はありますが。

高い自由度、小刻みなミッションで気ままなプレイ

以上、全体について触れてきましたが、トータルではとても気に入っています。特に、自由度とミッションのバランスがなかなかいいですね。自分はあまりに自由度が高すぎるゲームは好きではないのですが、その主要因としては「何やっていいのか分からない」というのがあるんですよね。このフォーエバーブルーの場合、とりあえず潜る場所ややることなどは、メールや助手から色々提案がされるため、とりあえずの目標を選ぶのには苦労しません。

なおかつ、それらの目標についての期間のしばりなどが少ないのもいいんですよね。RPGなどだと、よく特定イベントを終わってしまうとクエストが消滅してしまうとかありますが、個人的にはあれが嫌いで、気が付かずにクエストをやり過ごしてしまっていると、そこでやる気が失せてゲームプレイがとまってしまう、ということがよくあります。フォーエバーブルーの場合、一応7日以内に、という指定のあるものもありますが、比較的時間的制約が少ないものが多いです。やってもやらなくてもいいよ、というスタイルで小刻みにミッションが発生するので、やらされている感がだいぶ和らぐんですよね。

また、時間をかけた結果が、ちゃんとデータに反映されるところもいいですね。仲良くなった魚は図鑑に載りますし、泳いだ海域は地図が更新されますので。このあたりの「なんとなく埋めていく収集要素」というのは、どうぶつの森とも通じるところがあるように思います。

ライトユーザーからやりこみユーザーまでおすすめなゲーム

発売初日で変なケチが付いてしまった作品ですが、殺伐とした要素もなく気軽にマイペースで楽しめる作品として、Wiiというハードには非常にあっているソフトだと思いますね。DSでどうぶつの森nintendogsにはまっているような人には、とくにおすすめなソフトです。また、収集・探索要素も満載なので、そっち系を突き詰めるゲーマーにも結構あっているんじゃないでしょうか。深海をすみずみまで探索し、秘密の洞窟とか見つけると「おぉ」とか思いますしね。

一方で、魚に触って友好度上げるとか、凶暴な魚がおそってこないとか、タンク残量がほぼ無視できるとか、リアルにダイビングしている人だとちょっと引っかかる要素もあるかもしれません。この辺はこのゲームに何を求めるかで変わってきそうなところはありますね。自分は体験ダイビングをやったことがある程度ですので、一度ダイビングが趣味な人にも感想を聞いてみたいところです。

発売日決定から発売までが日が浅く、受注もそれほど集まらず、初日販売本数も1万本ぐらい、さらに不具合報告までされているということで、売上的にはかなり厳しそうなソフトですが、Wiiでまったりと楽しみたいというユーザーの方に手を取ってもらえるようになるといいなと思います。