Wii 国内累計販売300万台達成 〜 これもソースはファミ通

昨日、PS3が国内販売100万台を達成したというニュースが出たのですが、その数字の不自然さを自分なりに推測したエントリを書きました。

わぱのつれづれ日記 - PS3 国内累計販売100万台達成 〜 ただしソースはファミ通

上記で指摘したのは、同じファミ通を販売するエンターブレイン集計でWiiは同時期に300万台を達成しているのにも関わらず、なぜかBloombergなどの記事に出ている数字は1週間前の、まだ300万台達成していないものだったということ。その不自然さに、過去いろいろ変更報道をしていたファミ通のことですので、今回も一般マスコミにわざと累計期間のずれたデータを渡したのではないか?と推測した訳です。

これについては、コメント欄でも「単に今回エンターブレインが渡したのはPS3だけのデータで、Wiiのデータは渡していなかったため、別途Bloombergなどが別のエンターブレインソース(ただし先週の)を参考にWiiの数字を追加したのでは?」という指摘を受けました。たしかに、わざわざファミ通側で1週間ずれたデータを渡すよりも、こちらの方が自然な感じですよね。ファミ通HPでもPS3の発表だけでしたので。

そして、そんな指摘を裏付けるかのように、本日同じくエンターブレインソースで、「Wii国内累計販売300万台達成」のニュースが報じられました。

Wiiの国内累計販売台数が300万台を突破 エンターブレイン調べ / ファミ通.com

やはり同一週達成していた「Wii300万台販売」

上記データも、予想したとおりPS3と同じく7/15までの累計データ。やはり、PS3の100万台とWiiの300万台が同時に達成されていたわけですね。それなのに、わざわざWiiの300万台だけ発表を遅らせたのはなぜか?この理由は、昨日のエントリと同じ理由な機がします。要するに、「Wii300万台、PS3 100万台」というニュースが同時に出てしまったら、ほぼ間違いなく「Wiiが300万台達成!PS3に大差」みたいな報道になってしまうので、それを避けたかったから、ということのように思います。事実朝日新聞なんかは、まさしくそうした記事を書いてますしね。

asahi.com:Wii、国内300万台突破 PS3にトリプルスコア - ビジネス

まあ、朝日の場合前々からソニーに対してきつい口調で記事にしてますけどね。昨日のPS3 100万台の記事でも結構きつい口調ですし。(ちなみにこの記事を読むとWiiの291万台を「エンターブレインの直近の集計数値では」と表現しているのを見る限り、やはりエンターブレインPS3の数字だけ最新版を出したことが伺えます。)

また、結局1日発表をずらしたところで、一般マスコミの報道は「Wii300万台達成、PS3に大差」という論調で一致してしまうのはどうしようもなかったみたいですけどね。まあ、昨日ニュースの時点でそんな感じでしたけど。

Wii:国内300万台突破 PS3との格差3倍に (まんたんウェブ)
任天堂「Wii」国内累計300万台突破――エンターブレイン調べ デジタル家電&エンタメ-最新ニュース:IT-PLUS

今なお残る「生産出荷台数」の影響 〜 WiiPS2の比較時に生じた誤解

また、上記のマスコミ記事を検索していたときに、毎日新聞の記事で興味深い文章を見かけました。

任天堂の据え置き型家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」の国内販売台数が、昨年12月の発売から33週目(15日時点)で累計300万台を超えたと発表した。大ヒットしたソニーの「プレイステーション2」の26週目には及ばなかった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070719-00000099-mai-bus_all

注目は「Wiiの300万台達成は33週目で、PS2の26週目には及ばなかった」という記述。このPS2の300万台は、本当に販売台数なのか?と思って調べてみましたが、案の定「生産出荷台数」でした。

プレイステーション2、出荷累計300万台達成
PS2が300万台突破 - ファミ通.com

この件についての他メディアの記事では出荷だったり販売だったりいろいろですが、この前の決算までソニーは一貫して生産出荷台数しか公開していませんでしたので、いかに当時のマスコミがこの言葉に惑わされていたかが伺えます。

ちなみに、実際にPS2が「300万台販売」にかかったのは何週なのか、明確な発表はされていません。ただ、2001年2月にファミ通に掲載されている以下の記事を見ると、その達成時期を推測することができます。

ファミ通.com ゲーム/2000年のゲーム業界

この記事を見ると、2000年3月4日に発売されたPS2は、2000年だけで約301万台発売しています。そして、12月の販売台数が約16万台であることを考えれば、300万台達成は2000年12月中、発売から40週目〜45週目ということになります。これは、ファミ通発表データを集計されているマルガの湖畔さんの「ハード販売台数推移」比較グラフでも大体そのあたりで300万のラインを越えていることとも合致しています。

ようするに、Wiiの販売の伸びはPS2の約1.3倍ぐらいあると言うことですね。毎日新聞が言うような「PS2におよばない」なんてことは全然ないわけです。生産出荷のからくりがあれだけ明らかにされてなお、こうして一般マスコミに影響を残しているというのは、このハッタリがどれほど強力であったかを表していますね。本当、罪深い数字を生み出したものです。

できるかぎり、素直な数字公開を

以上、Wiiの300万台達成、そしてそこで見つけた生産出荷のなごりを見てきたわけですが、なんだかんだ言って販売元が出しているデータ、そして専門機関の出したデータというのは、一般マスコミには強い影響力を持っているのだな、と感じます。数字をいじって印象をよくする、というのはよくあるマーケティング手段ですが、ネットが発達した昨今、自分なんかでもちょっとググるだけでハッタリかどうか判断できちゃいますからね。以前よりもリスクの高い手法になっているんじゃないかと思います。各種メーカー、調査機関はできるかぎり素直な数字の公開をしていただきたいものですね。