「ヘルスパック(仮)」改め「Wii Fit」初披露!〜新デバイス「Wiiバランスボード」も

今年もやってきたE3。昨晩深夜は毎度サプライズな発表で好評を博している任天堂の後援がありました。ただ、今年はE3自体が大きく様変わりし、その規模が縮小されたこともあり注目度はだいぶ現象。そんな自分もすっかり任天堂のカンファレンスを忘れていて、実況中継を見たのは最後の30分ぐらいだったりします。

そんなちょうど自分が見始めたところで発表されていたのが、これまで「ヘルスパック」と繰り返しアピールされていた宮本茂氏プロデュースのWii注目タイトル。その名も「Wii Fit」です。

【任天堂 メディアブリーフィング】宮本氏イチオシ! 家族の”健康”を計る『Wii Fit 』の詳細が判明 / ファミ通.com

ITmedia +D Games:宮本茂氏が「Wii Fit」を高らかに掲げる――「任天堂メディアブリーフィング」 (2/2)

任天堂のページでもプレスリリースが出ていますね。

E3 2007: Wii Fitについて

動画は以下のところで全体を見ることができます。

GameSpot Video: Nintendo E3 2007 Press Conference

WiiFitのところだけの映像を以下に張っておきます。

新デバイスWiiバランスボード』

とにかく目を引くのは、「Wiiバランスボード」なる新デバイスですね。自分は、ヘルスパックはWiiリモコン+脈拍系みたいな、本格的な健康ソフトだと想像していたのですが、こうした汎用性もある周辺機器をこのタイミングで出してくるとはちょっと意表を突かれた感じです。

このWiiバランスボード、ぶっちゃけて言えば「体重計」です。圧力センサでバランスボード上面にかかる圧力を感知、その比重の偏りなどや変遷などを用いて身体の動きを認識してやろうというアプローチです。

通常の体重計がどういった仕組みになっているか興味があったのでググってみたところ、以下のサイトを発見しました。

デジタル体重計を分解

こちらの分解写真を見ると、中央に一つセンサがあり、そこから4隅に向かって金属の棒が伸びており、体重計にかかる圧力を中央のセンサに伝えるような仕組みになっているみたいです。Wiiバランスボードの場合だと、デモの映像を見た限りではかなり細かく圧力のかかり方を計れている感じ。ですので、上記写真のものほど単純な作りではないかもしれませんね。よく見るとボードの真ん中に切れ目みたいなところが見えるので、複数のセンサーを入れているのかもしれません。発売後の分解記事が楽しみなデバイスです。

Wiiに欠けている「身体の動き」の認識を実現

このバランスボード、活用法としてはムービーで以下のような例が紹介されています。

  • サッカーの身体左右振り&ヘッディング動作
  • 台を傾けての球転がし
  • フラフープの腰振り動作
  • 左右のバランスとり
  • ステップ運動
  • 腕立て伏せ
  • 片足エクササイズ
  • ヨガ
  • BMI値と重心バランスのチェック

かなりいろいろな活用が見られますね。前後左右への重心移動を利用してプレイヤーや台を傾ける動きなんかは、Wiiリモコンとちょっとかぶっていますね。エクササイズなどがちゃんと行われているかの認識にも使われており、Wiiリモコン同様、そのアナログなデータシーケンスをどうやって判別分析するかという、データ分析・認識技術がこれも必要になってきそうです。まあ、手っ取り早くおおざっぱなしきい値で処理する場合がほとんどなのかもしれませんけどね。

このバランスボード、とにかく身体の重心移動を検知できるというのはいいですね。Wiiリモコンではどうしてもセンサがリモコンにしかなく、「リモコンにかかっている加速度」しか理解できませんでした。このため、リモコンを速く動かしてしまうと、重力による加速度と動かした際の加速度、さらに予備動作での加速度などが入り交じり、なかなか姿勢の認識までは出来ないんですよね。ですので、Wiiリモコンでは身体の動きというのはなんとなくの認識しか出来ていませんでしたが、このWiiバランスボードなら身体のどちらに重心をかけているかということがよく分かるので、身体を使った動きに生かせそうです。

Wiiリモコンとの組み合わせで広がるゲームの可能性

このバランスボード、とりあえずWiiFitの付属品という形みたいですが、新たなデバイスとしてWiiのモーション認識を広げてくれる可能性があります。

わかりやすいところでは、ボクシングゲーム。これまでは移動が自動だったりリモコンだったりしたわけですが、その移動手段の一つとして体重移動が使えるかもしれません。また、スウェーやダッキングもリアルに体重移動を使ってやれて、直感的な感じがします。

たとえば、WiiSportsのテニスにこれを組み合わせれば、重心移動でプレイヤーの動きをある程度模すことができるかもしれません。もっとも、ラケットを振るときの重心移動と移動のための重心移動との区別が難しそうですけど。あと、バランスボードが小さい分、むしろテニスはやりづらい可能性もありますけどね。

他にも、同時に発表されていた銃型アタッチメントZapperや、ハンドルコントローラアダプタと組み合わせ、フットペダルやアクセル&ブレーキ代わりにするというのも、面白そうな応用ですね。

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他にも、腕だけだったWiiのモーション認識を補完する意味で、いろいろな可能性を秘めているように思います。

問題は「価格」と「周辺機器であること」

しかし、こうした可能性を感じさせるWiiバランスボードですが、ネックとなるのはやはり周辺機器だということ。ゲーム機の鉄則として、追加で出したコントローラでは、どうしても普及力に限りがあり、それを利用することを前提にしたソフトはそれほど数が出ないんですよね。WiiFit自体は同梱で発売するから問題ないとは思いますが、それ以降バランスボードを使ったゲームを出そうとしても、どうしてもバランスボードがない場合も考慮したゲームデザインが必要となってきます。そうなると結局、従来コントローラの延長程度の活用しか出来ない可能性はあるんですよね。

出来る限り周辺機器として標準に近い位置づけに持って行くとするなら、重要なのは「価格」です。いくら画期的な周辺機器でも、こうした周辺機器に出せる価格は5000円前後が限界でしょう。WiiFitについては50ドル以上という回答があったようですが、果たしてこのバランスボード単体でいくらぐらいの値段になるのか。このバランスボードは無線ということなので、おそらくBlutooth対応なんだとは思いますが、それだけでも結構なコスト高要因なんですよね。任天堂はあまり原価に対して極度に安い価格はつけてこないだけに、一体どのぐらいになるのか心配なところです。あまり高いと売れないのは分かっていると思うので、精一杯コストダウンはしてくるんでしょうけどね。

他にも心配事としては、デモで思いっきりセンサが誤動作していたこと。通信部分でのエラーならまだいいのですが、圧力感知自体でトラブっていたのだとすると、ちょっとお寒い感じはしますね。あんまり任天堂が公の場でこうしたミスを犯すことはなかったので、ちょっと珍しい光景でした。

あとはそこそこの大きさ&重さがありそうなので、自分のように帰省時に持って帰ってプレイということをやるのが大変そうとか、なんだかんだ言ってかさばりそうとかの問題もあります。また、足踏みや身体を思わず動かすようなゲームだと、逆にこの大きさでは小さすぎるということもありそうですね。その辺も制約事項となってきそうな感じです。

Wiiリモコンのモーション認識もより一層の進化を

さて、バランスボードによるモーション認識の拡張について色々述べてきたのですが、やはり先に挙げたようにどうしても周辺機器であるという致命的な問題も抱えています。また、Wiiリモコンだけでは認識できることに限りがあるからといって、次々と新しいデバイスをそれなりの価格で出されたのでは、消費者もお金がかかって仕方ありません。やはりWiiの特徴として、Wiiリモコンというシンプルでモーション認識も可能なデバイスを「標準搭載」したことが最大のメリットだと思うんですよね。ですから、できるかぎりこの標準搭載のものだけでのモーション認識も、もっと頑張って欲しいんですよね。WiiSportsはよくできていただけに、アレに続くモーション認識例をもっと見せて頂きたいものです。

Wiiの可能性を広げるデバイスWiiFitの成功がポイントに

以上、主にバランスボード中心に述べてきましたが、この手の新しい入力系大好きな自分としては、純粋にバランスボードは関心が高いですね。Wiiリモコンと組み合わせたより体感度合いの高いゲームをぜひプレイしてみたいものです。ただ、そのためにはWiiユーザの多くにこのバランスボードを所有してもらうことが重要になります。Wiiは本体が安くてもリモコンが高めで、これにさらに別のデバイスを購入するとなると、さすがに普通のユーザは抵抗感が出てくるでしょう。そうなると、セット販売するWiiFitでどれだけ爆発的ヒットを実現できるかが、非情に大事な要素になってくると思います。価格設定にシビアな任天堂ですが、ここはゲームの可能性を広げる意味で、是非とも思い切ったディスカウントプライスを実現して欲しいですね。WiiFitがヒットし、単体でも安価に発売され、その後ゾクゾクとWiiリモコン&バランスボード対応ゲームが出てくる、そんな展開があるといいなと思います。もっとも、そもそもバランスボードが邪魔でいらないというユーザもいるでしょうから、Wiiリモコンだけの可能性の広がりもどんどん示していってもらえることを期待します。