PS2+αへと進化を続けるPS3〜ファームアップでアプコン・メモカ対応

苦戦の続くPS3。(忍さんのエントリ)によれば、4桁に突入した週間売り上げ台数が先週も微減したそうで、なかなか現状の不利を打開できない状態です。

PS3の苦戦は、何よりもまずソフト不足が一番で、それ以外にも高すぎる&でかすぎる本体なども要因としてあげられますが、それ以外にも「PS2の互換状況が今ひとつ」というものがありました。これについて本日大きなファームアップがあったので紹介してみたいと思います。

徐々に改善されていった「PS2互換性」

とくに発売当初から多くクレームが入れられていたのが、「振動なし、メモカ書き戻しなし、一部画質劣化あり、動作不具合ソフトあり」というもの。せっかくPS2で圧倒的で支配的な立場にいたのに、その資産をうまく引き継ぐことができず、PS2ユーザーの「とりあえずPS2の次はPS3で」という買い換えに対しての安心感を大きく損なってしまいました。

これに対して、SCEも細かく努力を続けており、ファームアップの度に上記のような難点を少しづつクリアしていきました。まずは画質が一部劣化するものをファーム1.50で改善しています。以下がその比較映像。初期にあった変なジャギが直っているのが分かります。

IGN: PS3 Updated to 1.50 Video

さらに特許訴訟がらみで省かれていた振動機能も、発売前からずっと苦しい言い訳をしていたものの、Immersionとの和解がようやく成立し(参考エントリ)、後日ファーム1.70でPS2についての振動機能が復活されました。

わぱのつれづれ日記 - PS3システムソフトアップデート〜PS2の振動対応も

機能的不備をクリア+αを果たした新ファーム

そして今回、残る「メモカ書き戻し」対応とともに、+α要素としてゲームのHDアプコン機能まで搭載したファーム1.80が公開されました。

SCEJ、PS3システムソフトウェア バージョン1.80公開。PS/PS2のソフトがHD解像度でプレイ可能に
PlayStation.com(Japan)|PLAYSTATION®3 情報|システムソフトウェア アップデート
プレイステーション3 システムソフトウェア 1.80 国内でも提供開始 - Engadget Japanese

まず、メモカ書き戻しが加わったのは重要ですね。これまでは一旦PS3PS2ゲームをプレイしてしまうと、そこで遊んでいたデータを友人の家に持っていてPS2で遊ぶ、といったことが出来ませんでした。わざわざメモリカードリーダをお金出して買っても最初にPS3に読み込んだらそれまで、それ以降ろくな使い道がないというひどい状況。しかし、今回メモカに書き出せるようになったことで、安心してPS3で遊ぶことができるようになりましたね。なぜ最初からこれが出来なかったのか、全く持って不明です。一体、何がそんなに難しかったのでしょう?それとも、「PS2に戻って欲しくない」という意志があって、それを方針変換したと言うことなんですかね?よく分からないところです。

それから、アップコンバート機能も、かなりの性能を誇っているようです。どうやら、PS2ゲームで発生するジャギが、アプコンによってなめらかになる例が多数ある模様。これはすごいですね。具体的な例へのリンクが以下のページでされています。

PS3 FAN || PS3、PS1/PS2ソフトのアップスケーリング比較画像

DVDのアプコンが綺麗になるのはまだ分かるのですが、もともと低解像度でレンダリングされたPS2の映像がアプコンでジャギがなくなる、というのはどういった仕組みなんでしょうね?Xbox360Xbox対応みたいに単純に高解像度でレンダリングした、というのもちょっと違う感じがします。自分の予想では、PS2の画像をSD解像度の状態でアンチエイリアシングしながらレンダリングすることでまずジャギをなくし、それをHD解像度へとアプコンしているんじゃないか、と思うのですが、真相はいかに。

PS2代替としてはかなり魅力アップ、あとは互換性アップか

しかし、これだけ画質が改善するとなると、非常に魅力的ですね。今後もまだPS2ゲームはしばらく発売されるでしょうし、それらをプレイするにしても、せっかくだからPS3で高解像度でプレイする、というのは十分ありな選択なんじゃないでしょうか?個人的にも、俄然PS3への興味がわいてきました。メモカ書き戻しに対応したことであとでPS2に戻ることも容易ですし、1500円程度のUSBコントローラコンバータ使えば、PS2コントローラで振動付きプレイもできますしね。もともと自分はPS2用ワイヤレスコントローラをコンバータ経由でPCで使っていたので、容易に実現できそうですし。本来は、SIXAXISが振動付きになってくれるのがてっとりばやいんですけどね。

残る要素としては、互換性の向上でしょうか?しかし、これは残念ながら今後低コスト版になるにつれて互換性がより落ちる方向に行ってしまうんですよね。この辺のバランスが相変わらず悪いなぁ、と感じてしまいます。ソフト側では互換性を上げる側に振っておきながら、ハード側では互換性を下げる側に振っているという、この手のグダグダな戦略が、PS3の現状の苦戦を生んでいるように感じますね。

とにかく、個人的にPS3を買わない大きな要因だった「微妙なPS2互換性」の多くは改善され、なおかつ通常のPS2よりもリッチなプレイができる環境が整いました。後はPS2ソフトのHDDインストール機能とかがついて高速ロードとかが付くとなおいいのですけどね。今後低コスト版になるとPS2互換性が下がることを考えると、未だ大量に在庫を抱えているPS3が市場価格として安くなったタイミングで買っておくのがいい選択なのかも知れません。できれば20GB版が3万円代まで行ってくれるといいんですけどね。