コマンドバトルに戻ったドラクエ9

最新作がニンテンドーDSで発売されることになったドラゴンクエスト。携帯機で本編、ということでも大きな反響を呼びましたが、それ以上に戦闘がアクションゲームへ変更され、これまでの「究極のマンネリ」とも言われたシステムが崩されたことが、賛否両論の大論争を巻き起こしていました。

わぱのつれづれ日記 - ドラゴンクエスト9はDSで発売 〜 ナンバリングタイトルが携帯機に

もともと、ドラクエ自体はそのマンネリだけど誰もが簡単にプレイできるRPG、そして堀井雄二が保証する独特の安定感により老若男女に指示されていたタイトルでした。このため、特に既存のドラクエファンからは、どちらかというと否定的な意見が多かったように思います。

自分も、グラフィックについてはドラクエの本質ではないとは思っているのでDSで出ること自体はよかったのですが、アクションゲーム性については、かなりの違和感を感じた達です。とくに、複雑なアクション性が入ってしまうようでは、ドラクエの持つ大衆性すら失われてしまう印象がありましたので、落としどころが難しそうだなぁ、という印象がありました。

ドラクエファンの声が影響した?仕様変更

そのアクションバトルの部分なのですが、製品版では大きく仕様が変わるという情報が入ってきました。

[NDS] 『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』 バトル方式は従来通りのコマンドバトル - ゲーマーホリック
Re:戯言:[NDS] ドラゴンクエスト9 戦闘システムは従来のコマンドバトル

なんと、バトル部分が従来のコマンドバトルに戻るという、ドラクエIXの仕様の根本を覆すような変更が行われたようです。情報元は週刊ジャンプの記事スキャンのフラゲみたいですね。写真はフランスのゲームサイトの方で公開されており、詳細部分を見ることができます。

Dragon Quest IX DS : nouvelles images

戦闘が通常コマンド方式に戻ったため、感じとしてはDQMJとほとんど同じ感じなってますね。ドラクエファンからすれば一安心というところでしょうか。

コマンド方式でネットワークプレイも実現

とはいえ、コマンド方式に戻したことで問題となってくるのは、ドラクエIXの特徴的な要素の1つである「オンライン共同プレイ」。ネットで複数人と共同でプレイするとなると、アクション方式のバトルというのは、実際現実的な解でした。それが、コマンド方式となってしまうとテンポが悪くなってしまう危険性があります。

とりあえず、今回の記事を見る感じでは、これまでのドラクエでキャラごとに順に入力していたコマンド部分を、共同プレーヤーがパラレルに設定できるようになる、という感じですね。他の人がどんなコマンドを入れているかの状況も見られる感じです。これだと、誰か一人が入力遅かったりすると、短気な人ではいらいらしてしまう可能性がありますね。あと、お互いの意図がかみ合わない心配もあります。ドラクエだと、出来る限り適切なコマンド配分をして、少ないターンで相手を全滅させることが重要になります。しかし、もし相手のコマンドはコマンド入力後しか見えないとなると、そのあたりの緻密な設計が難しくなりますよね。

これを解決するアイデアとしてはやはり会話でしょう。友達同士で持ち寄ってプレイする場合であれば、リアルな会話をしながらプレイする感じでしょうか。モンスターハンターポータブルなども、そうやって複数人で持ち寄って、実会話を交えながら一緒にプレイできたことが1つの成功要因でしたので、比較的ポジティブに受け入れられるでしょう。あとはWi-Fiの場合ですね。これは、できればメトロイドプライムポケモンで実現しているボイスチャットを実装して欲しいですね。バトルでのコマンド入力は頻繁に行うだけに、いちいちボタン操作などでチャットしていたららちがあきません。ボイスチャットでの瞬時のコミュニケーションが必要となってくるでしょうね。

変化を1つ取りやめた全体の完成度はいかに

以上、コマンド入力に戻ったバトルを中心に見てきましたが、これが一体どのように受け止められるか。正直、ドラクエファンはアクションバトルに強烈な違和感を覚えていても、「堀井雄二の本編」ということであればその変化も含めて受け入れるという、いわゆる「覚悟完了」だった人も結構板と思うんですよね。自分もその一人でしょうか。そうした人から見ると、今回のコマンドバトルへの巻き戻りは、若干肩すかしをくらったような印象も受けてしまうんですよね。

それに、堀井雄二氏ともあろう人物が、あれだけ大々的に発表会で披露したシステムを短期間で変更するというぶれを見せたことも、引っかかるところではあります。ただこれに関しては、Wiiゼルダでも宮本茂氏がE3で不評だったBボタンでの剣振りを、ちゃぶ台返し状態でWiiリモコンを振る操作に短期間で変更させて青沼氏が死にそうになったのと似てますよね。大御所ほど自分自身の過去の決定事項に固執することなく、柔軟に発想を変更できるということなのかもしれませんね。「自分の考えを曲げないクリエーター」というのは、大衆受けするものは作れないのかもしれません。

とはいえ、冒険的な部分が減った分、これまでのドラクエにあった「マンネリによる安心感」という要素も復活したわけです。また、DQMJで新たに獲得した客層をスムーズに本編に引き継げるというメリットもあります。ファミ通浜村通信の予想にあったような500万本の売り上げを目指すならば、必要な変更だったのかも知れませんね。もっとも、そうした低リスク化の流れに、拝金主義者であるスクエニ和田社長の影がちらついて見えるのが非常に嫌なところですけどね。

個人的にはちょっと残念なところもありますが、堀井雄二氏の本編だけに、その完成度に期待したいと思います。