カメレオンクラブの経営破綻と中古ゲーム市場について

自分は日頃ゲームのネタを多数エントリに取り扱っているのですが、その情報元として多いのが海外のニュースの他に、ゲームショップ店員による情報があります。自分もアンテナに色々と登録しており、ちょくちょくチェックさせて頂いています。

そんなゲームショップについてですが、1つ大きなニュースが入ってきました。

上昇(カメレオンクラブ)民事再生法の適用を申請|ゲームの裏話

カメレオンクラブは、自分も昔使ったことがありますし、全国的にもよく知られたゲームショップのようですね。基本的にはフランチャイズで、中古販売とコアなゲームファン相手にローカルな商売をしている印象があります。そんな名の知れたショップでさえ経営破綻してしまうというのは、本当に厳しい状態ですよね。そもそも新品ゲームだけの販売ではやっていけず、中古ゲームに頼らざるえないというのはかなり厳しいですよね。子どもの頃よく利用していた地元のゲームショップでも、最近は18禁PCゲームなども扱うようになっていましたし、とにかく固定で売り上げが見込める客を抱え込むことが重要だということでしょうか。

以下、今回の件に関連して、中古ゲーム市場について個人的に感じているを述べてみたいと思います。

中古ゲーム市場の功罪

さて、中古ゲームについては昔から数々の議論がありますよね。いい面もあれば、悪い面もあるといった印象でしょうか。

まず、いい面と言えばなんといっても消費者にとって。新品で買って速攻でクリアし、高く売れば実質かなり安い価格で新作ゲームがプレイできます。また、少し旬を過ぎた名作なども、中古でなら安価に購入できる場合があります。メーカーがすでに出荷していないゲームでも、中古なら手に入る可能性もあります。また、ゲームショップ側にも、新品よりも中古の方が利益率が高いというメリットがあるようです。他にもソフトを売りに来ることでなじみ客になるということもあるのかもしれませんね。

その一方で、メーカー側にとってはかなりマイナスな要素が多いです。先ほど上げた「新作を買って速攻で高く売る」というのは、高く買い取ってくれるのはそれを高く買う他の消費者がいるからです。つまり、メーカーにしてみれば、本来新品で買ってくれた客の払うお金をみすみす中古屋に奪われたようなものな訳ですよね。また、中古で安くなってから買うという消費者の存在も、メーカーにしてみたら、それは自分の利益にはつながらないわけです。

こうした点は、「消費者から見たら関係ない」「安くたくさんゲーム買えるんだからいい」言う方もいるかもしれませんが、一概に関係ないとも言えません。メーカーとしてもいかに稼ぐかが死活問題ですから、「すぐに中古に売られないゲームを作る」ことに傾倒してしまいます。そのため、まずジャンルが偏ります。アドベンチャーゲームは、固定ファンのいるギャルゲー以外は、基本的にクリア時間が短くやり直しの必要も少ないため敬遠されてしまいます。それ以外でも、とにかくRPGなどではやりこみ要素などを詰め込み、すぐに売られない工夫がされ、結果的にゲームによってはおまけ要素多すぎでだれてしまい、肝心のゲーム自体の価値を下げてしまうことがあります。
また、中古対策でメーカーはすぐにベスト版を出し、少しでも自分の方にお金が入ってくるようにする取り組みもありますが、これはこれで新品で買った人が損した気になるとか、作品の定価が下がることで価値そのものが下がったような印象を受けてしまうとかの弊害もあり、なかなかうまくは行きませんね。

こうした状況だと、中古ゲームショップの人には怒られそうですが、消費者側もできる限り中古市場を利用しない、メーカーに金を流す努力をした方がいいのかもしれませんね。いくら優れた大作ゲームを出しても、消費者が中古ゲーム市場における売買を積極的に行ってしまうのでは利益が上がらず、次につながらない訳なので。できる限り新品を買い支えて、メーカー側へのバックを増やすことも、好きなジャンルを支える意味では必要なのかもしれません。(もっとも、みんながみんな新品を購入するようにならないと効果がないかもしれず、個々人が努力してどうにかなるレベルでは無いかも知れませんが。)

脱・中古市場をめざすメーカー

とはいえ、メーカー側も手をこまねいているわけではありません。

現在有効な1つのアプローチは、任天堂が携帯ゲーム機でとっている戦法でしょう。まず、ソフト自体の価格をさげ、中古との絶対的な価格差を抑える。そしてセーブデータを本体に内蔵することで、ゲームを売りづらくするというものです。このセーブデータの話は、nintendogsのときに宮本茂氏がコメントしていたものですね。そのプレイヤー個人に特化したデータをゲームソフト側に内包して取り出せないようにすることで、手放すのをおしいと思わせるわけですね。ソフト自体も安いだけに、中古に流れにくいということもあるでしょう。
また、ジャンル的に大人をターゲットにしているのも、中古対策に意味があるかも知れません。DSで新たに入ってきたような層は、そもそもゲームを中古で買う、という感覚があまり無いかも知れませんし、中古を毛嫌いする人も結構います。中高生などですと、そもそもの金銭的に限られているために中古に頼らざるを得ないかも知れませんが、社会人なら比較的金銭的に余裕はありますからね。(まあ、社会人でも片っ端からゲームを買ってプレイするヘビーユーザは中古がないとやってられないかもしれませんが。)

ただ、こうした傾向も、元の開発コストの大きい大作系ではやりにくいだけに、別のアプローチが必要になるでしょう。最近はオンライン販売や、切り売り、体験版などで方向性を模索しているようですが、まだこれといった決め手がない状態ですね。とはいえ、なんらかの新しいビジネスモデルを作らないと、ただでさえ開発費が高騰する次世代機では大作系ゲームはなかなか出てこない可能性があります。それは、長い目で見れば消費者側のデメリットとなってしまうようにも思います。

ゲーム業界全体で幸せになれるビジネスモデルはあるか

今回のカメレオンクラブの経営破綻にあるように、中古ゲーム市場もGEOなどの大手だけが残り、厳しい業界かも知れませんし、国内ゲーム業界はどこも厳しい印象はあります。市場が変革していく中、ある程度の淘汰が起こるのは必然かも知れませんが、その先に待っている未来は、メーカーも、流通も、消費者も皆が幸せになれる世界が待っていればいいな、と思います。