はさみとカッターだけでできる Wii用「自作センサーバー」

先日のエントリ「 Wiiリモコンを用いたPC操作 〜 WiinRemoteレビュー」で紹介したWiinRemote。動作には最低限Bluetoothアダプタが必要なわけですが、そのほかIRセンサーによるポインティングのためにはセンサーバーが必要です。当然、Wiiのセンサーバーを利用することもできるのですが、普段はTVにセットされているセンサーバーをPCディスプレイに移動させるのも面倒、また電源供給のためにはWii本体の電源を入れて置く必要もあります。できれば別途Wii本体を必要としないセンサーバーが欲しい、ということで、センサーバーを自作することにしました。

以前、エントリ「純正センサーバーの代用について」で、『ポケットニュース: Wiiのセンサーバーを自作してみた』を紹介させて頂きましたが、こちらは安価かつ綺麗に作られていました。
ただ、自分ははんだづけの道具を持っておらず、できればもっと誰でもできる、手軽なものはないかと調べていたところ、WiinRemoteの掲示板(WiinRemote BBS)にてGamiさんが紹介されていた、以下の自作センサーバーが目にとまりました。

Gamixxity Blog -街とデジタルコンテンツをぼやく- | Wiiリモコン対応センサーバー自作

上記センサーバーでは、電池ボックスにLEDをつなげただけというシンプルな作りで、半田付けを必要としません。値段的にもさほど高くないようでしたので、これを参考にしてセンサーバーを自作することにしました。


作成した自作センサーバーが上記画像。以下、材料や制作方法などを詳しく説明したいと思います。

材料の準備

今回自作の際に用いた材料は以下の通り。

材料 単価 個数
赤外LED SLR-932AV-7K  30円 ×2
LEDソケット 3V用(51Ω) 210円 ×2
電池ボックス(単三×2、スイッチ付)  70円 ×2
ストロー(セット) 100円  
合計 720円  

基本的にはGamiさんのレシピ通りですが、プラスしてセンサーバー胴体部分としてストローを用いています。ストローは以前100円ショップで購入して大量に余っていたものを利用しましたが、家庭内に余っているものやコンビニなどでもらったストローを使えばよりコストダウンできるかと思います。(もっとも、自分の製作法ではストローは半透明であることが一応前提にはなってますが。)

ストロー以外の部品は全て秋葉の千石電商本店で購入しました。千石電商での部品購入は初めてだったので、素人には結構とまどいましたね。最初「赤外LED」と「赤色LED」の違いが分からず、思わず「高輝度・赤LED」というのを買いそうになりました。一応店員に確認してよかったです。赤外LEDはその名の通り目視できない赤外光を発するLEDで、赤色のLEDとは異なりますので注意が必要です。
ちなみに各パーツの販売場所は、2階入ってすぐの左手壁側に通常光LEDがあり、その2段目・左端にLEDソケットはありました。赤外LEDはその反対側、フロア中央の引き出しに入っています。電池ボックスについてはフロアが異なり、B1階で売られていました。

LED発光部分作成手順

まずは、赤外LED発光部分を作成します。最初に、LEDソケットの加工から。

LEDソケットは最初からLED装着部に2本の銅線、必要な抵抗が一体化しているもので、半田付けの手間を省いてくれます。ただ、銅線先端の被覆はそのままですので、適当な長さ分だけ被覆を剥いでやる必要があります。自分の場合、約15mmほどはぎ取りました。被覆の除去は以下のページを参考に、カッターを用いて転がすように少しずつ切れ目を入れて行いました。

ITmedia PCUPdate:第1回 ハンダこての基本操作から始めよう (3/3)


被覆を剥ぎ終わったら、その部分をよじってまとめた後、電池ボックスへと接続します。通常赤線がプラス、黒線がマイナスとなりますので、電池ボックスで電池の凸の絵がある側に赤を、スイッチ部分に黒を接続しました。本来は半田付けすべきところですが今回は無いので、しっかりとねじって接触不良が起こりにくくしておきます。

あとは電池をはめ、LEDソケットに赤外LEDを差せば完成。LEDは脚の長い方が+ですので、赤線のソケットに差します。こちらも本来は上記右画像にあるように、LEDの脚を短くするのが筋なのですが、失敗した場合のことを考えて切断せず利用しています。これでも一応電気は通りますので。

以上の作業をもう一つ分繰り返せば、LED発光部分作成完了です。

センサーバー胴体作成手順

今回参考にさせて頂いたGamiさんの自作センサーバーはLED発光部分だけでしたが、これだと2つのLEDの間隔や向きなどを一定にするのがなかなか困難です。そこで、センサーバー胴体部分を、ストローを用いて作成することにしました。(ちなみに、ストローを選んだのは、ちょうどコンビニで帰りにジュースを買い、ストローをもらったからで、実は完全の思いつきだったりします。)

今回作成したセンサーバー胴体では、2本のストローを用い、LEDの間隔を微調整できるように制作しました。というのも、PC向けのセンサーバーの場合、かなりディスプレイとWiiリモコンが近づくので、普通のセンサーバーのLED間隔だとちょっと広すぎたので。通常の間隔からPC向け、両方に対応できるようにしたわけです。

手順としてはまず、ストロー2本を各々約11cmほどの長さに切断します。次に、そのうち一方について、中心部分を幅約2mmほど、長さ9.5cmほど切り取ります。これは、もう一方のストローにスムーズに差し込むためです。この切り取る際、最後、端の部分を若干余らせておくと、ストッパー代わりになっていい感じです。

次に、LEDを差し込む部分を作ります。今回使用したLEDは先頭部分が直径5mmぐらいでしたので、まずストローに4mmほどの間隔で2本の切れ込みをカッターで入れ、その中心部分を縦に切ってH型の切れ込みを作りました。この部分にLEDを押し込んでやると、H型の部分が折れ曲がり、LEDを両側から挟み込むようになって安定感が増します。とはいっても、差し込んだだけではさすがに弱いので、実際にはさらにテープで補強して使用しました。これを両方のストローに加工して完了です。




上記がその完成したセンサーバー胴体にLEDを装着したものです。上側が大体センサーバーの幅に相当する長さの場合、そして下側がもっとも短く縮めた場合の画像となります。1つのセンサーバーで通常と短いのに対応しようとするとこれが精一杯ですね。これ以上間隔が広いものor狭いものが欲しい場合は、それ専用に制作した方がよいでしょう。


完成例


以上、制作したLED発光部分とセンサーバー胴体を組み合わせることで完成。上記がその完成例となります。




赤外LEDの光は赤外光ですので目視では確認できませんが、携帯のカメラなどを用いれば光っていることが確認できます。上記画像の上側が電源OFF、下側が電源ONです。ちゃんと動作しているかのチェックにいいでしょう。目視では分からないので、電源切り忘れには注意が必要です。

自作センサーバーを用いたWiiリモコン使用


早速、作成した自作センサーバーでWiiリモコンを操作してみました。WiinRemoteを利用した例は、すでに先日のエントリの段階で自作センサーバーを利用しています。ちょっと離れすぎると時々赤外光感知結果が点滅したりしますが、おおむね良好に利用できています。

また、通常センサーバーとTVに設置し、WiiリモコンWiiを操作しましたが、こちらも良好。ただやはり多少LEDの光が弱いので、本体の感度設定を通常は感度2の状態で利用していましたが、自作センサーバーは安定性を高めるため感度4で利用しました。こうすれば、カーソルがふるえることもなく、安定して使用することができました。

まとめ

以上、自作センサーバーの紹介をしてきましたが、半田付けも行わず、手軽に自作センサーバーを作成できるので、「見た目気にせず、とりあえず自作センサーバーが欲しい!」という人にはお勧めな作り方です。とはいえ、電池ボックスとストローという構成なので耐久力は無く、持ち運びようのワイヤレスセンサーバーとしては利用しづらいですね。TV向けには通常のセンサーバーを利用するでしょうから、結局は自分のように、WiinRemoteを利用するためのPC用センサーバーとしての利用がメインになるかと思います。

今回の自作センサーバーを見ても分かるように、とにかくセンサーバーの仕組みはシンプルです。海外ではすでにいくつかワイヤレスセンサーバーも出ていますね。

Go Nintendo ? Blog Archive ? Nyko’s wireless sensor bar- What are you waiting for?
Wiiにサードパーティ製ワイヤレスセンサーバー - Engadget Japanese

そのうちゲームテックやHORIあたりが日本でも出してくると思うので、持ち運びようのワイヤレスセンサーバーが欲しい方は、そうした製品を待つのもいいでしょう。今すぐ自作センサーバーが欲しいと言う方や、今回のエントリを見て単純に知的好奇心をそそられた方、一度自作センサーバー作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。