Wiiリモコンを用いたPC操作 〜 WiinRemoteレビュー

以前、「Wiiリモコンを用いたPC用自作ドラムソフト」というエントリでWiiリモコンのPC応用について取り上げたことがありますが、最近ではIRセンサーを用いたポインティング操作もサポートされてきているといい、PC好きとして前から興味を持っていました。

Wiiリモコンでのポインティング操作を実現するソフトは「WiinRemote」。その公式ページが以下のところとなります。

WiinRemote



上記が実際にソフトを使ってみた画面となります。


このソフトを試すのに最低限必要なのはBluetoothアダプタ。IRセンサーを試すのにセンサーバーも必要なので、今回にあわせて別途自作もしたのですが、それはまた別のエントリで紹介するとして、とりあえずBluetoothアダプタを利用したWiinRemote体験について紹介してみたいと思います。(なお、本レビューで試用したWiinRemoteのバージョンはv2006.12.25bとなります。)

Bluetoothアダプタについて

まず、必要最低限必要なBluetoothについて。一応上記の公式ページにも動作確認済みのアダプタが色々紹介されているのですが、いまいちどれがいいのかよく分からない状態。値段も、1000円〜4000円ぐらいと、いろいろあります。

どうやらBluetoothについて調べてみると、v1.1/1.2とv2.0+EDRという主に2種類のものが市場に流通しているようです。v2.0+EDRが比較的最近出てきた規格で、v1.2などと比べて3倍高速な通信速度を持っているとのことです。

ケータイ用語の基礎知識 第304回:Bluetooth 2.0+EDR とは

WiinRemote自体は単にヒューマンインターフェイスバイス(HID)として使うだけなので、通信速度は大していらないわけですが、v2.0+EDRの方だと高音質なオーディオ通信を可能とするA2DPに対応しているものも多く、将来的にBluetooth付きデバイスを購入する可能性も考慮してv2.0+EDRを購入することにしました。

で、実際秋葉原に買い物に出かけ購入したわけですが、本当は事前にネットで調べていてコストパフォーマンスのよかった下記の商品を購入するつもりでした。

PLANEX Bluetooth2.0+EDR対応USBアダプタ BT-Mini2EDR

PLANEX Bluetooth2.0+EDR対応USBアダプタ BT-Mini2EDR

BT-Mini2EDR - TWOTOP Internet Shop


v2.0+EDR対応で小さく、値段も2000円程度と手頃だったのでよかったのですが、あいにくTWOTOPでは売り切れ。その他の店にはありましたが、2500円以上と割高。通信範囲の広いClass1に対応したBT-MiniEDRはありましたが若干高いので、そのほかの候補を探したところ、ツクモ本店2階で以下の商品を見つけました。

プリンストンテクノロジー 製品案内 通信機器

上記商品が、通常価格3580円のところ、新春初売り価格として1780円と、約半額で売っていたので購入。WiinRemoteの動作確認リストには入っていませんでしたが、多くの動作確認があることですし大丈夫だろうと購入した形です。v2.0+EDRでClass1対応と、なかなかのスペックでしたし。

Wiiリモコンの認識手続きについて

BluetoothアダプタでのWiiリモコンの認識については、以下の記事が詳しいです。

ITmedia Biz.ID:WiiリモコンでPowerPointを操作できるか (1/2)

上記記事と違い、自分の購入したBluetoothアダプタには、東芝のドライバソフトがついていました。以下にこのソフトでのWiiリモコン認識手続きについて紹介してみたいと思います。

まず、ドライバをインストールすると、タスクトレイにBluetoothのアイコンが表示されます。このアイコンを右クリックして「新しい接続を追加」とすると、以下のダイアログが表示されます。

ここではエクスプレスモードを選択。Wiiリモコンは単純にHIDのみなので、自動的にソフトが選択して対応してくれます。この状態でWiiリモコンの電池蓋をはずし、赤いSYNCボタンを押します。青いランプが点滅しているうちに「次へ」を押すと、Bluetooth機器を自動探索し、Wiiリモコンをリストアップしてくれます。

リストから「Nintendo RVL-CNT-01」を選択し、「次へ」を押すと認証開始。Bluetoothの機器によってはPINコードというものを入力する必要があるものもあるようですが、Wiiリモコンの場合だと何もせず自動で認識してくれました。これで登録完了です。

登録を終えると、機器リストにWiiリモコンに対応するアイコンが表示されます。ここから詳細を見た際の情報が下の画像です。

Wiiリモコンとの接続を確立するためには、アイコンをダブルクリックし、以下のアイコンが表示されているときに、再びWiiリモコンのSYNCボタンを押します。

すると接続が確立し、上記画面のようにアイコンに鎖のマークが表示されるようになります。これで接続完了です。切断するときは再びアイコンを右クリックして「切断」を選択します。


このソフトのヘルプを読むと、一度ペアリングが終われば、マウスなどであればボタンを押すだけで次回以降は自動接続してくれる、とあるのですが、このソフトではうまくいきませんでした。Wii本体でもボタンを押すだけで反応してくれるだけに、ちょっと解せない動作ですね。毎回SYNCボタンを押して接続する必要があるのは、ちょっと面倒に感じました。他のアダプタだったら自動接続なんですかね?だとしたら、そちらのアダプタを利用した方がWiiリモコンの利用には向いているかもしれません。このあたり、他のアダプタで試されている方がいれば情報いただければ幸いです。

WiinRemoteでのモーションセンシング

Wiiリモコンとの接続を確立してから、WiinRemoteを起動すると以下のような表示となります。

Wiiリモコンの画像が、実際に押したボタンに応じて赤く光ります。またその右のグラフでは、リモコンを画面に向けて水平に構えた状態を基準とし、青が左右の動き(X)、赤が前後の動き(Y)、緑が上下の動き(Z)を表しています。その横の正方形の領域には、X軸とY軸の動きをあわせたものを直感的に描画しているようです。


実際に左右・上下・前後にリモコンを繰り返し振ったときのグラフの様子を以下の画像に記します。

左右移動
上下移動
前後移動

左右移動と上下移動は、単純にリモコンを握ってリモコン先端を上下左右に振った動きですので、実際には円弧の反復動作になっています。前後移動は、おワリオの「達筆」と同じで紙飛行機のように持って前後に動かしています。各々違った色のグラフが大きく動くのを見るのは、結構楽しいですね。

WiinRemoteでのポインティング操作

ポインティング操作は、モーションセンサとIRセンサのどちらかを使って行うことができます。ただ、モーションセンサでのカーソル移動は、ITmediaの記事にもあるように、正直実用とはほど遠い印象です。

一方、IRセンサを用いたカーソル操作はかなり快適ですね。自分はUXGAの解像度で通常PCを使っていますが、この解像度でも細かいマウスカーソル操作ができました。ただ、ディスプレイの端の方の操作、とくに上下の操作は若干厳しいものがあります。左右の場合、センサーバーの1つの光りでもリモコンで感知できていればカーソルが動くのですが、上下の場合だと、センサーバーの2つの光源を同時に見失うことになります。このため、フルスクリーン表示しているときのウィンドウメニューの操作や、タスクバーの操作などでは慎重に動かさないとすぐにカーソルがうまく動かなくなります。IRセンサでリモコンが赤外光を見失った場合にモーションセンサで臨時に対応することもできますが、そもそもモーションセンサでのカーソル移動がやりづらく、意図しない動きをすることが度々あります。特にPC操作ではデスクトップと人間との距離が50cm程度と近い分、センサーバーを見失う率が上下移動では多い印象です。

現在のマウスカーソルの座標の決め方が、おそらくデスクトップの解像度でIRセンサの情報を正規化しているからだと思うのですが、できれば画面端の操作をするために、実際のデスクトップより若干大きい解像度で正規化してもらえると、こうした誤動作を抑えることができるのではないか、と感じました。


ボタンとしては、最初はAボタンが左クリック、-ボタンが右クリックとなっており、BボタンはカーソルのON/OFFに使われていました。ただ、感覚的にBボタン右クリックの方がやりやすかったので、自分はこの割り当てを入れ替えました。キーカスタマイズ機能がついているのはいいですね。ただ、ボタンを押す際、左ダブルクリックなどは結構難しい。Aボタンを押すときに手がぶれてしまうんですよね。ダブルクリックもキーカスタマイズで割り当てられるので、そちらを使うのも手かもしれません。
あと、現在の仕様では左ボタンでのドラッグはできましたが、右クリックでのドラッグはできませんでした。右ボタンドラッグができると、Bボタンを押しながらリモコンの動きでマウスジェスチャーが可能になり、FirefoxSleipnirなどマウスジェスチャー対応ブラウザでの操作が快適になると思うので、右クリックドラッグの対応が待たれるところです。

思った以上に実用的。細かい調整、ライブラリ化などに期待

以上、BluetoothアダプタからWiiリモコンの認識、WiinRemoteまで触れてきましたが、現状でもかなり使い物になる印象です。画面端の操作、右クリックドラッグが備われば、かなり実用度が増すんじゃないでしょうか?また、今後DLL化やライブラリ化などが進めば、他のゲームなどでWiiリモコン動作を応用しやすくなるように思います。そうすれば、同人ゲームなどでいろいろとおもしろいゲームが期待できるので、そうした広がりにも期待したいところですね。

もっとも、あまりにそう言ったPCでの普遍的な利用が進んでしまうと、Wiiの売りであるコントローラがPCで自由に使われてしまい、Wii本体へ影響が出てしまうことも、無いとは言えませんが。MicrosoftのPCゲームでWiiリモコンに対応したりしたら、ちょっとした騒動になりそうな印象もします。ただ、そうした問題さえのぞけば、HD映像+Wiiリモコン操作ということがPCでは可能になるわけで、ゲーマーとしてはちょっと期待したいところでもあります。今後も、有志による開発状況には要注目です。