Wiiに関するQ&A〜ニンドリ1月号

北米ではすでに発売されたWii。すでに実機がユーザの手元に届いているだけにいろいろな検証がされており、それについてEngadgetさんのところで興味深いQ&Aが出ています。

Wii 実機FAQ - Engadget Japanese

USBで外付けストレージが使えないとか、SDカードで読めるファイル形式が限定的だとか、ディスクを裏表逆に入れても単に読めないだけとか、いろいろ面白い内容がありますね。青ランプはドライブロード時と書いてありますが、それ以外は消灯しているってことなんでしょうかね?このあたりもオプションで選べるのでしょうか。一応、上記のQ&Aはまだ前編らしいので、後編も期待したいところです。


一方、今月号のニンドリにおけるQ&Aコーナーでも、任天堂の萩島氏がいくつか興味深い返答をされているので紹介してみたいと思います。

Wiiをプレイ時の注意点

まずは、自分が先日のエントリー「Wiiの抱える訴訟リスク」でも取り上げた、Wiiリモコンの危険性についての記述です。

Q Wiiをプレイするときに注意することはありますか?
A 必要以上にリモコンを振り回さないでください。何度もお話ししていることですが、Wiiリモコンは、ほんの少しの動きでも感知されるようになっています。でも、ゲームに夢中になっていると、とても大きなアクションをしてしまうことってありますよね。そんんあとき、近くに花瓶のような割れ物があったり、小さなお子さんがいたら危険です。ですから、遊び始める前に、周辺にぶつけたら危険なものがないか、小さなおこさんなどが近寄ってくることはないか、しっかり確認して頂きたいと思っています。それに、とくに小さなお子さんが遊ぶ場合は、ゲームに夢中になりすぎて、周りの状況が見えなくなってしまうこともあると思います。それで、思わぬ事故が生じないよう、親御さんにはぜひ注意を促していただくようお願いしたいですし、親御さんがプレイされる場合でも、力があるわけですから、必要以上に大きく振り回したりしないようお願いいたします。また、リモコンを力任せに振りまわして、ポーンと飛んでいったらとても危険です。そのようなことにならないように、専用のストラップを用意しています。遊ぶときは必ずストラップを手首に通し、ストッパーで固定するようにしてください。よろしくお願いします。

この返答は当然Wiiの北米発売前にとられたものでしょうから、任天堂は今回起きているような事象を、事前にしっかり把握していたということになりますね。花瓶などの破損、子どもをなぐってしまうなど、まさに報告されている内容にそっていますし、任天堂が事前に検討したり、一般ユーザにテストプレイしてもらったときにもその危険は確認していたのではないでしょうか?だからこそ、発売が近づくにつれて、警告画面や展示会でのストラップの徹底などが厳しくなったわけですし。

今回の上記返答は、非常によいことを言っていると思います。ただ、これだけのことを分かっているのなら、もっとはっきりとした形で、広く情報を伝えて欲しいところです。物損や事故も、プレーヤーが気を付ければかなり防ぐことができるものだと思います。ただ、なにぶんWiiは世界で初めて出てくるおもちゃ。プレーヤもどこまでしたらどれだけ危険なのか、分かっていない人も多いでしょう。だからこそ、事前に情報をしっかりとインプットすることが重要なのだと思います。ニンドリのQ&Aというだけでは、正直露出度として不十分だと思います。公式HPで目立つところに事前知識として表示する、店頭のDSステーションの映像で安全な使用を訴えるなど、もっとアピールしてよいかと。幸い、日本での発売までまだ1週間ぐらいはあります。すでに北米でいろいろ事が起きている状態なのですから、せめて日本では発売前の積極的なよびかけを行っていただければ、と思いますね。

Wiiプレイ時の距離

続いて、センサーバー、ポインティング関連の話です。

Q Wiiはテレビからどれくらい離れて遊ぶといいの?
A 1〜3メートルくらいが理想です。実は、テレビに近すぎても駄目なんです。センサーバーから1メートル以内の位置では、正常に動作しないんですね。あまりテレビに近寄りすぎてプレイすると危ないですからね。ですからテレビから1〜3メートルの範囲内でプレイすることを推奨しています。それ以上離れて遊びたいときは、センサーバーの感度を調整することで5メートルくらい離れてもプレイ可能ですが、あまりセンサーバーの感度を上げすぎると、太陽光や照明器具の影響を受けやすくなって、動作が不安定になることもあります。ですから、テレビから1〜3メートルの位置で遊んでいただくのがいちばんでしょうね。また、センサーバーの前にモノを置いたり、センサーバーが映りこむようなテーブルが前にあると、感知しない場合があります。また、センサーバーのそばに石油ストーブやクリスマスツリーなど、熱や光りを出すものがあると、やはり動作が不安定になることがあります。「リモコンの反応が鈍いな」と感じたときは、Wiiの取扱説明書を読んでご確認くださいね。

距離や周辺条件など、いろいろな話を述べてますね。センサーバーとWiiリモコンポインティングの仕組みについては、過去に「Wii体験会レポート(ハード編) 『Wiiリモコン ポインティング』」で考察しています。それに基づいて、ここでもコメントの分析をしてみたいと思います。

センサーバーとポインティングについては、自分はWiiリモコン側にカメラがついており、それでセンサーバーのあるテレビ側を赤外線で撮影、画像処理してセンサーバーの位置を特定していると考えています。そう考えると、TVからの距離が1メートル以上ないといけないというのは、「1メートル以下だと、リモコンをテレビに向けていてもセンサーバーがWiiリモコンで撮影できなくなるから」のように思えます。Wiiリモコンからセンサーバーが見えないと、ポインティング方向の絶対的な向きが見えませんからね。もちろん安全的な問題もあるでしょうが、単純に技術的な問題な気もします。

また、3メートルより離れてプレイするときについて、任天堂公式HPのQ&A「テレビとプレイヤーとの最適な距離は? : Q&A - Wii」では、「大きなテレビをお使いの場合などは、Wiiの本体設定(Wiiオプション)を変更することにより1mから5mの範囲でプレイすることができます。」という説明がありましたが、結局IGNの動画で明らかになっていたように、センサーバーの感度を調整することで対処するようです。つまり、離れたところになると相対的にセンサーバーの光りも小さく、弱くなってしまうので、カメラ側での画像処理におけるしきい値を調整するということでしょう。ただ、当然しきい値を下げて感度を上げれば、センサーバー以外を誤検知してしまう可能性も増えます。動作が不安定になることがある、というのはそう言うことでしょうね。

また、周辺に置くとまずいものとして、石油ストーブ、太陽光、照明器具というのは、事前にあったリーク情報と一緒ですね。おそらく、あの情報もこのあたりの説明員の受け売りだったんでしょうね。もう一つ、「センサーバーが映りこむもの」というのも駄目なものとしてあげてますね。これも、すでに北米では指摘されていたところです。透明なガラスのテーブルを近くにおいたら駄目、というのがありましたが、それがこのケースだと思います。これも、原理的に考えれば分かる話で、画像処理でセンサーバー位置を認識しているのであれば、センサーバーが映り込んでしまうとどっちが本物のセンサーバーか分からなくなってしまいますからね。

まあ、現状北米でも精度についてはあまり問題になっていないので、基本的にはそのままの状態でプレイできるでしょう。問題が生じたら、上記のような点を思い出して多少周辺物の配置などを見直す、という感じでしょうか。


ちなみに、この質問のニンドリ側の補足で、「テレビとの距離は通常縦の長さの6倍」と言ってますが、これは基本的にインターレース形式のSDブラウン管の話ですね。走査線が粗い分、近くで見るとその粗が見えるので6〜7倍離れる方がいいというもので、HDテレビだと通常プログレッシブで細かい映像なので3倍程度でよいと言われてます。

WiiのDVD再生機能について

ソニックの発表で混乱を招いたWiiのDVD再生機能についても書かれてますね。

Q WiiのDVD再生機能はなくなってしまったの?
A なくなったわけではありません。今年のE3前の時点では、DVD再生用のアタッチメントを別売りで出すような話をしていましたよね。現状では、そういったアタッチメントを発売するのではなく、DVDの再生機能付きモデルの発売を検討しています。ただ、発売時期は未定です。一部でDVDの再生機能について中止されたという報道もありましたが、検討は続けています。ただ、発売当初はハードをひとつに限定して生産効率を上げることが最優先課題となりますので、当面はDVD再生機能のないWiiを発売していきます。

これはすでに任天堂公式HP「音楽CDやDVDビデオは再生できるの? : Q&A - Wii」にそったものですね。生産効率をあげるために当面はDVD機能がない、というコメントは初出な気もしますが。BD再生にこだわって生産トラブルを起こしてしまったPS3への皮肉もこめられているんでしょうね。最初にできる限り全部載せてしまうのか、後から載せて複数モデルになってややこしくなるか、どっちがいいのかは消費者が判断することだとは思いますが、とりあえずロンチに限ってしまえば、Wiiの方がリスクの少ない印象はしますね。

Wiiのプレイスタイルについて

Q Wiiソフトは立ってプレイしなきゃあいけないんですか?
A そんなことはありません。もちろん『ゼルダ』は座ってプレイできますし、『WiiSports』にしても同じです。例えば「ボウリング」の場合、気分を盛り上げるためにも、どうしても立ってやりたくなっちゃいますよね。でも、あのゲームで操作が大事なポイントは手首のひねりと振るスピードなんです。ですから、イスに座ったままの姿勢でも、リモコンをヒョイっと前に押し出せばボールをカンタンに転がすことができます。さらに、テレビの画面がでかくないと遊べないんじゃないかと心配なさる方もいるかもしれませんが、ものすごくちっぽけなテレビでプレイしたこともあって、それでも楽しくプレイできましたし、今ご家庭にあるテレビなら、問題なくWiiを遊ぶことができますので、Wii用にテレビを買わなきゃダメかも?なんてご心配は必要ないんですよ。

Wii使用時のテレビについては、すでにYouTubeで多数上げられており、SDテレビでも全然普通にプレイしているのを見かけているので、それを肯定しているかんじですね。座ってのプレイも、動画で公開されてますし、できないことは無いでしょう。
ただ、なんだかんだ言って立った方がプレイしやすいし、うまくプレイできるのでしょうけど。そもそも、実際の動きを模してプレイできるところが楽しさの1つでもあるわけですし。ここのところ、しきりに「小さな動きでもプレイできる」というアピールがありますが、Wiiの楽しさの1つに大きく動かして楽しむこともあり、それは宮本茂氏も言ってましたよね。このあたりに、安全面、スペースなどとのかねあいで任天堂のジレンマが感じられます。

ゼルダの推奨年齢について

最後に、ゲームについての項目を紹介します。

Q どうして『ゼルダ』は12歳以上推奨なんですか?
A CEROの規定によります。ゲームソフトの倫理審査機関であるCEROが、今度の『ゼルダ』には犯罪と虐待に関する描写があると判断し、B区分になりました。実は、今度のリンクは、プレイヤーの行動次第でお店からこっそり商品を持ち出すことができちゃうんです。例えばカンテラの脂を盗むと、「金払え!ドロボー!」って怒られます。当然です。その後、おしおきされます(笑)。あと、虐待行為に関しては、子どもを連れ去って、棒の先端に縛り付けられてしまう描写が該当しました。リンクを慕っている少年がさらわれて、ひどい仕打ちを受けているからこそ、リンクは心の底からあの少年を助けたいという思いを強くする訳ですが、その2点の表現によって、今度の『ゼルダ』は12歳以上推奨のソフトになりました。

虐待のシーンは、だいぶ前から2chなどでも「規制にひっかかるのでは?」と話題になったことがありましたが、結局CERO審査で引っかかったようですね。たしかFFXIIなんかはCERO審査をパスするために一部演出がカットされており、北米版で復活したというのがあったと思いますが、ゼルダはそういった対策を取らなかった模様ですね。まあ、自分は大人なので問題はないですが、12歳以下、つまり小学生には推奨されないと言うことですね。浜村氏の言い方から言えば、「あとは親の判断次第」というところでしょうか。
泥棒ネタなんかは、「夢を見る島」などでもあったおなじみのネタなんですけど、今はこれも規制の対象なんですね。泥棒ネタはやるとあとでずっと泥棒呼ばわりされて、ゲーム中でも十分反省させられるですけどねw。まあ、12歳以上なら分別も付くでしょう、ということでしょうか。
この手のCERO関係はいろいろな意見もありそうですが、きりがなさそうなので、とりあえずここではこの程度にしておきます。


以上、ニンドリのQ&Aコーナーの文章を引用していろいろ紹介してみました。できることなら、こうしたQ&Aは、一雑誌のコーナーにとどめるのでなく、公式HPで誰でも見られる形で広くアピールしてほしいものだな、と思います。