東京ゲームショウ2006レポート〜PS3編


今回のゲームショーの花は、なんと言ってもプレイステーション3ですよね。実際、SCEカプコンスクエニコナミなどが集中している6ホール奥は、歩くのも困難なほどの混雑。PS3のある4,5,6とMSのいる1,2,3ホールとは物理的に分かれているのですが、文字通り「温度差」があるぐらいでした。熱気が違う、というやつですね。

PS3は、とにかく人がいっぱいいたため、自分もほとんどプレイできていません。1つはセガブースでちょうど昼時人が減った際にプレイした「ヴァーチャファイター5」、もう一つはランダムで1つプレイさせてくれる体験台でプレイした「ARMARD CORE4」だけ。後は、通路から後ろから見たりした程度ですね。

○展示について

SCEPS3展示スペースですが、とにかく多数のHDTVを並べた光景が圧巻。すべてソニーBRAVIA。機種はおそらくX2500というやつですね。大きさは表記されていませんでしたが、おそらく46Vか52Vかと。
BRAVIA〈ブラビア〉|〈ブラビア〉X2500 シリーズ|ソニー

まずはこれだけの台数の大型HDTVを提供したソニーは見事。PS3のHD画質のアピールは、やはり大画面でこそ生きてきますからね。Xbox360の店頭デモでサムスンの32型ぐらいの液晶がつかわれていますが、アレでは微妙にぼけてしまっていまいちHDの良さがわかりにくいです。一方で、今回の東京ゲームショーではすべてFullHDパネルの液晶で表示されており、そのクリアさには目を見張るものがありました。この作戦は、非常に効果的だったと言えるでしょう。

ただ、一方で不満点も。人が多すぎて、どのゲームについても1時間前後の待ち時間がかかるにもかかわらず、展示スペースに視聴スペースがないこと。つまり、どこかに並ばない限り、ゆっくりゲームを見ることもできないというわけ。確かに、通路に人がいると通行には邪魔ではなんですけど、通路脇ぐらいしか、外からゲーム画面を確認することができないんですよね。いちいち並んでいては複数のゲームを見て回れません。それがSCEが意図したことなんでしょうか?正直、PS2とかPSPのブースをもっとせばめて、PS3の展示スペースの通路幅を広くして欲しかったですね。
また、RESISTANSEのスペースが壁(っぽい発泡スチロール)に囲まれているのですが、ここの壁沿いに体験プレイ行列を並ばせるにもかかわらず、壁のわずかに開いた窓枠にわざわざネットを張って目隠し。並んだときぐらい見せてくれてもいいじゃないか、という気もします。一体、この展示会で、SCEは消費者に画面を見てもらいたいのか見てもらいたくないのか、よく分からない感じでしたね。ほとんど全てが撮影禁止でしたし。今回の展示の仕方では、時間内に数個のゲームを体験して終わり、というのがSCEの意図に見えてしまいます。それが計算外であるなら、単に展示スペースの作り方のミスですね。

○グラフィックについて

これは、とにかくきれいにつきますね。前述のFullHDTVの影響もあるとは思いますが、非常に繊細です。

個人的にPS3のゲームで感心したのは「ライティング」ですね。3D技術にあまり詳しくないのですが、とにかくその光が当たったときの光り方、質感が非常にリアルな感じでした。PS2なんかでは、どうしてもキャラクターが背景に対して妙に浮いた印象になることが多かったですが、PS3では自然な感じでとけ込んでいます。光りを受けてキャラの表面のオブジェクトに細かい陰影がついたりすると、たしかに高いリアリティを感じました。WiiでもPS2に比べれば光り方に関しては格段にいい印象でしたが、PS3はさらに上、という感じです。

もっとも、これも展示ゲームによってまちまちなところはあります。「F1」なんかは、のっぺりしていて駄目駄目な印象。「GENJI」も、いかにもPS2的な大げさな光らせ方で、リアリティが感じられません。一方、「Hevenly sword」などはかなり秀逸。全体にうっすらとフォグがかかりながら、キャラに当たる光りなども微妙にぼやけた、自然な陰影。もう一つすごかったのはセガの「PowerSmash3」ですね。これもコートに当たる光りのリアリティ、顔の陰影などが非常にリアルでした。このあたりの光源関係が、HD以上に次世代効果を感じましたね。


一方で、見ていて気になった点もいくつか。一つはジャギですね。体験プレイなどをすると、画面がでかすぎることが逆に災いしてか、ジャギが結構見えてしまいます。通常、HDTVの場合、画面の縦幅の3倍程度離れて視聴するのが適していると言われています。今回の展示では50V型前後でしょうから、通常だと2〜3メートルは離れて見た方がいいわけです。ただ、展示スペースの関係で今回大体とれた距離は1〜2メートル。その分、本来目立ちにくいジャギまで、体験プレイの距離だと見えてしまうのでしょう。

とはいえ、それだけが要因ではないところもあったと思われます。特に目立ったのは、キャラなどが拡大されたときなど。バーチャファイターでも、顔がアップになったシーンなどでは、かなりジャギは気になりました。レアというドラゴンのゲームでも、手前にドラゴンがいるときは、その輪郭部分のジャギが遠目でも確認できました。また、リッジレーサー7などは、最初に車選択で車が回っているところでも、斜めの輪郭でジャギジャギしてしまい、斜め線がちらついてしまう現象が発生していましたね。それ以外の部分がリアルな分、こうしたちょっとしたジャギが目についてしまうと、とたんにふっと冷める部分が出てしまうんですよね。アンチエイリアスなどは、非常に重要だな、と感じました。


もう一つは、フレームレート。去年のE3のXbox360でもよく見られたことですが、PS3でもちょくちょくフレームレートが落ちる、いわゆる処理落ち現象が見て取れました。GT HDでは、壁などに激突した直後なんかにしょっちゅう処理落ちしてましたね。また自分が体験したARMARED CORE4は最悪で、煙のエフェクトが多数出たときなどまさにカクカク。正直5fps程度しか出ていませんでした。展示員に聞いても「ちょっと煙出し過ぎちゃって」とか言っている状態。正直まだまだ調整不足を感じましたね。とても年内候補には見えませんでした。


PS3はどうしてもグラフィックが売りである以上、いずれのゲームもリアル路線に行きがちです。そしてなまじリアルになる分、明らかにCG的なジャギ、フレームレートといった部分がちょっと出るだけでも不自然さを感じてしまうんですよね。DVDのブロックノイズなんかも似たようなものでしょうか。最終的には慣れるものだとは思いますが、ないにこしたことはないので、最適化の努力をしてほしいですね。

○操作について

体験した2つのうち、VF5は専用コントローラだったので、実際にコントローラに触ったのはARMARED CORE4だけです。本当はモーションセンサーも試したかったんですけどね。
形状はまさにPSコントローラ。振動機能がなくなった分、軽くなっています。ですが、軽くなった分、どうも重心がおかしい感じ。これは、体験プレイでは、USBケーブルで有線にてつながっていたことが影響していたように思います。とくに、このケーブルが妙に太いんですよね。立ってコントローラを持ってプレイしてただけに、ケーブルの重さが全部コントローラにかかってしまい、結果として重心が前に行ってしまった印象です。実際に机の上などでプレイすればまた違うのでしょうけど。

ちなみに、体験したゲームARMARED CORE4についてですが、自分が全くこのゲーム初体験のこともあり、正直歯が立ちませんでした。左スティックで移動、Lボタンでダッシュ、右スティックで視点移動、Rボタンで横ダッシュと、とにかく使うボタン多すぎ。視点移動も、すぐに下の方や上の方を極端に見過ぎて変な視点になってしまいます。最近のPSゲームをやっていなかったのですが、「多数ボタンがあると難しくなる」という理屈は、非常にもっともだと感じましたね。コアにやり込むゲームはそれでいいのかもしれませんが、正直「御新規お断り」な印象も受けました。

○全体として

とにかく、グラフィックはきれいですね。HDTVの大画面でやるには、非常によさそうです。ただ、このために5万円出すか、と言われれば微妙。PS2の延長のようなゲームが多く、すでにPS2の据置ゲームに見切りをつけている自分としては、絶対欲しいというソフトはとくにありませんでした。むしろ、AFRIKAみたいな環境ソフトの方が惹かれる感じ。現状のPS2ゲーマーからしてみればPS3は純粋に同様のゲームをきれいにできていいのだとは思いますが、PS2市場が完全に尻すぼみな状態だけに、PS3でも新規を取り込むような、もしくはゲーム離れした層を呼び戻すような新しいジャンルのゲームを見せて欲しいところです。