PS3値下げを見つめる冷静な目

さて、TGSの質疑応答で電撃的な値下げが発表されたPS3。喜びの声も大きい一方で、一般マスコミからは冷静な目で見られているものもあります。

ライバルの米マイクロソフト「Xbox360」(3万9795円。低価格機種は2万9800円)などに比べて割高との指摘を受け、発売前の価格見直しという異例の対応を迫られた。
(中略)
ソニーはPS3の立ち上げコストを踏まえて今年度のゲーム事業が1000億円もの営業赤字になると予想。来年度のV字回復を見込んでいた。値下げで赤字が膨らむ恐れがあり、ソニーの連結業績に不透明感が出てきた。
asahi.com:PS3、異例の発売前値下げ表明 - ビジネス

ライバル社の次世代機に比べて割高感が強かったため、1万円以上の大幅値下げで販売戦略を立て直す狙いがある。
「プレステ3」1万円以上値下げ、ライバル社に対抗 : 経済ニュース : 経済・マネー : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

値下げにより販売数量の増加は見込まれる一方、2007年3月期の収益悪化も予想され、買いが手控えられている。
 市場では「販売開始前に価格を引き下げたことは、ブランド力低下の裏返し」(三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長)との声が聞かれた。「もともとの価格設定が高かったことを考えると、(今回の値下げも)やむを得ない判断だ」(みずほインベスターズ証券の大沢充周アナリスト)との見方もあった。
◇<東証>ソニーがさえない 「PS3」、発売前に値下げと伝わる - Financial One [ ニュース ]

PS3は、任天堂が12月に発売する「Wii(ウィー)」、マイクロソフトが昨年発売した「Xbox360」の競合2商品に比べ2倍以上高く、「普及の速度は鈍い」(ゲーム関係者)など懸念の声が上がっていた。SCEは他の2社に対抗するため、発売前の値下げに踏み切った。
プレステ3値下げ、5万円切る 日本で、普及の遅れ懸念 - 高知新聞:FLASH24:経済

ソフト出揃う来年まで任天堂DSが独走
東京ゲームショウ開幕…ソニーPS3を緊急値下げ発表 - 夕刊フジBLOG (全文)

他のIT系のページでは、広告費のことや業界全体が盛り上がった方がいいので手放しで歓迎ムードですが、ゲームからちょっと離れて見ている層、特に株関連の見方はかなり厳しいものがありますね(夕刊フジのはほとんど冗談ですがw)。発売前に値下げする、というのはブランド力の低下である、という指摘はかなり手厳しいものもあります。まあ、DVDレコーダのころからすでに低価格商法を強いられている印象はありますけど。

Xbox360自体、相当な赤字だと言われており、PS3はそれよりもBD、HDMI1.3、Cellなどコスト上昇要因が大きかったわけで、久夛良木氏自身でも「安すぎたかも」と言っているほど、博打価格だったわけで、さらに博打要素が増えたことに、ゲームに関係なくソニーの経営そのものに関連のある人には不安要素にも見えてしまうようです。


とはいえ、ゲーマーからしてみたら知ったことではないんですけどね。そもそも赤字を気にして6万円なんて言う価格設定を最初にしてきたSCEがおかしいんです。赤字が嫌なら、最初からもっと現実的なスペックでつくればよかったわけで。結局、さらなる値下げをしたことで元手回収にかかる期間が長くなってしまったんでしょうけど、そんな理由でスペックをずっと据え置くというのも、変な話です。PS3は10年戦える、とか言ってますが、現状でもよほど特化した物理演算以外はPC以下なのに、10年もこのまま据え置いてどうするんでしょうね?10年という数字は、単に開発費からの逆算にしか見えないんですけどね。
Wiiも同じで、消費者から見れば任天堂がもうかる、もうからないは関係ないわけで。だから、25000円に失望感が出たわけです。まあ、この価格にはPR代やサービス代も含んでいるということなので、どの程度Wiiチャンネルやその他ネットサービスなどでユーザーに還元してくれるかが重要ですよね。


ともかく、SCEは発売前に博打を打った以上、PS2以上の成功をしないとなかなか思ったような利益は上がらないでしょう。その割には相変わらず「FF13MGS4・BD映画」ぐらいしか独自要素が見えない状態。値下げ以外にどれだけのサプライズを用意してくるか、それが非常に重要になってくると思います。2年後、5年後のサービスを待ってられるほど、消費者は気長ではないですし、世の中には他にもいくらでも娯楽があるわけですから。