土台にブレイクスルーがあったWiiのデザイン ~Wiiインタビュー第2回

先日から始まった、日刊のWii公式インタビュー記事。その第2回が掲載されました。
「第2回 誰からも嫌われないデザイン」- 社長が訊く Wii プロジェクト - Vol.1 Wii ハード編
前回は「ローパワーハイパフォーマンス」というCPUについてのことでしたが、今回は筐体デザインについて。まず優先順位として、岩田聡社長からのトップダウンの指示があったことがインタビューから読み取れます。困難な課題を下した側が、それを言われた部下にインタビューする、と言う構図がなかなか異様な感じですね。完成しているからできる代物でしょう。

○「小ささ」と「壊れにくさ」を両立した設計

Wiiの筐体を小さくする、というのは、とにかく設置場所を選ばず、どこにも邪魔にならず置くことができるというコンセプトが合ったわけです。その上で重要になるのは、やはり「スロットインタイプのドライブ」だったようです。薄型PS2が出たときも、せっかく薄いのに蓋を開けるタイプなので結局、隙間部分にPS2を入れて運用すると言うことができません。一応、周辺機器の中には、薄型PS2用スライド式レール、みたいなのも発売されており、それを使えば隙間での運用もできなくはないですが、やはりスロットインタイプの方がスムーズな解でしょう。
ただ、こうした構造だと、やはりホコリが入りやすいんじゃないか、とか壊れやすいんじゃないか?という疑問もわきます。しかし、そのあたりは任天堂だけに厳しい基準をクリアしている模様。今回は社長が窓から投げ捨てているかどうかは不明ですがw、子どもが扱うことも考えているそうした設計は非常に重要なことでしょう。

○「おもちゃ」と「AV機器」を両立したデザイン

デザインについては、任天堂のゲーム機はこれまで、とくに意図的に「おもちゃっぽい」デザインがされていました。これは、実際には一人のデザイナーの手によるモノだったようですが、山内前社長の強い意向もあったのかもしれません。とはいえ、GCも64も、正直設置には邪魔になるデザイン。GCなんか、無駄に嵩があり、しかも蓋開閉でのディスク出し入れ、取っ手部分が普段邪魔、などあまりいいデザインには思えませんでした。
今回は、DSで大人向けに売れていることもあり、AV機器も意識したデザインになっています。デザインも若手デザイナーも入っていろいろ検討していた模様。とくに、社長からのトップダウンの「DVDケース3枚分」という影響が大きく、長方形のデザインになってしまうことがネックになっていた模様。ようするに、個性が出せないということですね。
そのとき、ブレイクスルーになたのが「土台」の存在だったようです。単なる長方形のWii本体を、土台で斜めに立たせるだけで、個性的な外見になる、というのがなかなか画期的だったわけです。実際、この土台は特にクレードルなどの機能も含んでいないわけで、完全にデザインのためだけにあるものなんですよね。これがなくても縦置きはできそうですし。ただ、ゲーム機である以上、ぱっと見て他と区別できる個性が必要だったのは事実。Wiiは、シンプルで邪魔にならないことを目指しながら、個性も押し出すことができたなかなかいい例だと言えるでしょう。

実際、この土台の案は、社長へのプレゼンでも一発OKだった模様。そこから、E3までは相当期間の短い内容だったようです。実際、E3で外観発表することは、設計の人には伝わっていなかった模様。危うく、PSPのような無理な筐体デザインが先行し、□ボタンのような無理無理な設計が生じてしまう危険もある事態でしたが、そのあたりはずっとデザインと設計とが密接にやりとりしていただけに大丈夫だった模様。やはり、工業デザインである以上、機能性も考えなければいけませんからね。


以上、第2回は筐体デザイン、設計についてでした。第3回の見出しは、事前にアップロードされてしまっていた見出し画像によれば「明確な目標があったからこそ、Wiiはできた」というもののようです。果たしてその明確な目標とは何か。何となく客層や人とゲーム機の関わり合いなどの話のような気がしますが、第3回の記事を楽しみにすることにしましょう。