ほぼ日風・Wii開発秘話インタビュー開始

詳細発表までいよいよあと1週間あまりとなりましたが、ここに来て任天堂がにくい演出を。9/9より、日刊ペースでのWii開発秘話インタビュー掲載が開始されました。
社長が訊く Wii プロジェクト - Vol.1 Wii ハード編

斬新なのが、社長である岩田聡氏が司会進行役となり、社員の責任者や担当にインタビューをしていくという形式。普通は社長が代表して語る形が多いですし、実際これまでもそうだったと思うのですが、非常に斬新な試みです。この記事掲載についてはTouch-DSで登録受付をしているメールマガジンが第一報だった、というのも面白いところ。自分は登録していなかったのですが、今回の件を見て先ほど登録しておきました。
Touch-DS.jp - ニンテンドーDSやWiiの最新情報配信について

○記事の「ほぼ日」っぽさ

今回の形式ですが、はてなブックマーク のコメントでも何人か指摘していますが、なんかとっても「ほぼ日」に近い印象なんですよね。元々、NOMなどの開発者インタビューもほぼ日っぽいなとは思っていましたが、今回は特にそんな感じがします。おそらく、この手の任天堂のPR記事には、何らかの形で関わりを持っているんじゃないかと推測します。
ちなみに、ほぼ日と言えば任天堂についての読み応えあるインタビューを、「樹の上の秘密基地」のコーナーで掲載し続けています。ちょうど今はリズム天国のコーナーが日々更新されているところですね。
ほぼ日刊イトイ新聞 - 樹の上の秘密基地。
また、過去のインタビューも以下のところから読むことができます。
「これまでの秘密基地」
上記の中でも、とくに岩田聡社長へのインタビューは非常に読み応えがあり、為になるコメントが満載ですので必見です。
ほぼ日刊イトイ新聞 - 「社長に学べ!おとなの勉強は、終わらない。任天堂社長/岩田聡 編」
吹き出しを使った会話形式が、先日のNOMのチンクル開発スタッフインタビューとよく似た印象ですよね。

上記のインタビューは糸井重里氏が聞き手で、岩田社長が語り手だったわけですが、ちょうどこれを逆にしたような感じなのが、今回のインタビュー形式なんですよね。このあたりにも、なんだか「ほぼ日」っぽさを感じてしまいます。でも、こちらとしても親しみやすい感じがしていいですよね。

○インタビュー内容について

内容自体は、まずはハード編ということですが、格段珍しい情報があるわけではありません。Wiiのパフォーマンスについての設計思想などが主に語られています。
ちょうどこのインタビューに合わせる形で、IBMからWii用CPU「Broadway」出荷済みというアナウンスがされました。IBMの発表は以下のリンクから読むことができます。
IBM IBM、任天堂の新しいゲーム機Wii向けのマイクロチップを出荷 - Japan
今回の発表は、勘違いされやすいですが、あくまで「すでに出荷済み」ということについてのアナウンスです。ですので、「これから出荷して間に合うのか」という憶測は見当違いですね。PCWatchの記事によれば、すでに任天堂に出荷分は到着している模様。海外ニュースサイトのJoysiqの記事によれば、7月には出荷していたというような記述がされています。
IBM、任天堂の新ゲームマシン「Wii」のCPUを出荷開始 - PCWatch
Wii chip production well underway, say IBM, Nintendo [update 2] - Joystiq


インタビューの中で印象的な言葉としては、岩田社長の冒頭の「完成したWiiを前にして」という言葉に、まずwktk感がありますね。また、Wiiの開発開始はゲームキューブ発売してすぐと言うことで、2001年9月には開発開始されていたことになります。そして、1年目ぐらいに通常の豪華路線に違和感を覚えたと。岩田氏が社長就任したのが2002年5月なので、ちょうどそれぐらいの頃ですね。
Wiiにおけるハード設計では、基本的にはより小型に、より消費電力を少なく、というところ。ただ、GCとそのままという性能というわけではなく、以下のコメントにあるように、パフォーマンスも上がっているようです。

竹田
『当然のことですが、性能が二の次、というわけではないんです。
 「ローパフォーマンス、ローパワー」は誰でもできる。
 「ハイパフォーマンス、ハイパワー」を、ほかの人たちは目指す。
 そういうなかで、私たちはWiiで
 「ローパワー、ハイパフォーマンス」というのを追求したわけなんです。』

ここで言う「パワー」とは「電力」のことですね。低消費電力で、高性能。最近のPCの流れと近いものがあります。たしかに、WiiConnect24などはWiiのような方向性でないと難しかったわけで、こうした方向性も十分有りですよね。


とはいえ、既存のチップをアップグレードし、より低消費電力、高密度化などをする、というのは、PS陣営がすでにやってきたことでもあります。
SCEJ、PS2のCPUと描画プロセッサを1チップ化。久夛良木氏「約1カ月後には具体的な商品を一部話せるかも」
SCEJ、「PSビジネスブリーフィング」開催。ネットワーク端子搭載し体積が1/4になった薄型「プレイステーション 2」

薄型PS2なんかは、まさにその路線ですよね。性能はアップしてませんが、それは同じPS2という機種だから当然ですし。PS2の発売が2000年3月。薄型PS2が出たのが2004年9月。ちょうど4年半と、ゲームキューブWiiの関係とも似ています。つまり今回Wiiのハード設計で行ったことは、SCE側もすで2年も前に薄型PS2で通ってきた道であり、彼らの場合チップ設計、自社工場生産もしている状態。そう言う視点で見てしまうと、今回のインタビューで任天堂開発陣が語っている内容を、ただ「すごいすごい」と手放しで大絶賛する気持ちには、ちょっとなれないところもあります。


まあ、もっともWii本体がGC小型化アップデート版、というのは前から分かっていたことで、Wiiのキモはそのインタフェースであることは間違いありません。日々更新されるWiiインタビュー、今後の更新を楽しみにしたいところです。