SCEI 久夛良木社長インタビュー(下) - 後藤弘茂のWeekly海外ニュース

PS3に関するインタビュー。久しぶりに、久多良木社長がキレにきれまくってますね。自分も、読んでいて頭がクラクラしちゃいました。
電波発言盛りだくさんなのですが、まず多くの注目を集めた電波発言は以下のものでしょうか。

僕がおかしいと思うのは、僕らはコンピュータだとずっと言ってるのに、同じ業界の中で任天堂さんが外に向かって玩具だ玩具だと言い切っている。だから、こちらはスーパーコンピュータ並みで輸出入管理が必要なモノを作っているのに、役所とかには玩具だと思われてしまう。

もう、なんて言うか、思わず「なにいってんだと思った」と、こちらが言いたくなるような発言ですねぇ。どこからどう見てもPSやPS2はゲーム機であり、ゲーム機として売ってきたじゃない。PS3も、E3でゲーム機としてアピールしたじゃない。おまえがコンピュータといえばコンピュータなのか?それがおもちゃのと言われるのは、任天堂のせいなのか?もう、ばかばかしくてお話になりません。

あと、HDD発言についても、かなり電波。

HDDはデフォルトでは載せない。なぜかというと、いくら載せても足りないから。次はもう、間違いなくネットワークドライブ。(ストレージが)Cell サーバーにあって、ネットワークを経由してどこからでもアクセスできる。自分の家の中でも、友だちの家でも、どこにいても論理的に(同じネットワークドライブが)見える。そういう世界。

いや、決して間違っているとは思わないけど、なんでいきなりここまで飛躍するかなぁ。たしかに、NASとかの広がりはすごいし、メディア機器とストレージ機器の置き場が離れることは必然の流れです。だが、それと標準でHDDを載せないこととは話が違うでしょうに。単体でファイルに関するシステムを構築できなくて、なぜネットワーク経由のシステムを構築できましょうか。外部ストレージとしてできることと、内部ストレージとではできることも違うでしょうに。ファイルキャッシュとかシステム管理とか、そういったことは内部ストレージでしかできないだろうに。Revolutionみたいに、代わりに大容量フラッシュ積むというのならまだ分かるのに。
そして、極めつけに、以下の発言。

今回、我々は(PS3は)スーパーコンピュータですという位置づけにする。でも、コンピュータとして申請しないとコンピュータとして見ない人がいるから、OSを走らせる。CellはマルチOSが同時に動く。だから、OSをそのまま動かして、はいコンピュータですというためにHDDがいる。
 だから、最初から(HDDに)Linuxを載せちゃうんじゃないかと思う……、おまけでね。コンピュータとして申請するために。

もう、本当に頭がクタタンの発言についていけませんねw。HDD標準搭載しないくせに、コンピュータ扱いされるためにHDDにLinuxを標準インストールですか。はぁ、もう、勝手にしてくださいという感じですね。
たしかに、オープンなアーキテクチャにすると言うことは、久多々良木の言うように、自然発生的にいろいろなコンテンツが生まれたりするし、技術的な興味がある人にとってはいじりがいもあることでしょう。ただ、それは果たしてPS3でやらなきゃいけないことなんでしょうか?Cellがすごい能力があることを示したいのであれば、単純にCell搭載のWorkstationを作って出せばいいじゃないの。なんで、技術的に興味のない、一般ゲームプレイヤーに対して、そんなスーパーコンピュータまがいなものを売ろうとするのか。PS2の後継だから売れるのは分かるけど、それって、だまして別用途のものを売りつけているようで、詐欺くさくねぇ?
後半のエコシステムとかの話は、既に頭がクラクラしてよく理解できませんでした。PCWatchということはありますけど、もうちょっと分かりやすい言葉で話せないのでしょうか?最後に後藤さんが必死でフォロー入れてましたが、それですら、もうコンシューマーにはついて行けないレベルです。すべてハード先行、アーキテクチャマンセーなお話で、すっかり消費者は置き去りにされている感があります。なんか、ゲーマーに対して喧嘩売っている感じ。PS3を、現時点でもっとも魅力を感じている人種がゲーマーであるのに、それに見向きもしないこの発言はどうなんでしょう。


思えば、クタタンはもともとソニーでコンピュータをやっていて、窓際に追い込まれていた人物。それが、PSで一気に主役に躍り出たわけです。そのまま破竹の勢いで駆け上るかと思いきや、PSXPSPと、持ち前の「バランス感のない製品」によって失脚しました。そして、現在手の中に残った最後の希望PS3、それに、クタタンは必要以上にすべての自分の欲望を注ぎ込もうとしているのではないでしょうか?PS3は、素直に最強の据え置きゲーム機として出れば成功する可能性は十分と思っていました。しかし、こうしたクタタンの乱心じみた妄想を聞かされてしまうと、本当にPS3が成功できるのかどうか不安になってしまいました。


野望を持つのは結構。ビジョンをはっきり持っているのも結構。だけど、最終的に買うのは消費者です。消費者が求めているものを、消費者に分かる形で提供しなければ意味がないのです。クタタンはお得意のハッタリで売れるかと思っているかも知れませんが、これだけの妄想だと、ハッタリしきれるのかどうか。まだ、発売まで時間があります。戦略を十分に練り直すことをおすすめしたいですね。