次世代ゲーム機、3首脳語る

2ch任天堂はかわいい新型ファミリアで公開されていた、朝日新聞に掲載の記事から。
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SCE久多良木任天堂の岩田、マイクロソフトのロバートと、次世代機戦争の中心にいる各社の人物へのインタビューが載せられています。
内容は、またはっきりと立場が分かれていますね。自分の読んだ印象で、各社のポリシーを簡潔に述べると以下のようになります。

SCE ゲーム機を踏み台にした次世代エンターテイメント市場の構築
任天堂 純粋に「娯楽」としてのゲーム市場再構築
・MS 既存ゲームマーケットのシェア獲得・支配

という感じでしょうか。以下に、具体的に自分なりの分析を載せていきます。

○新たなるエンターテイメント市場構築を目指すSCE久多良木

まずは、一番おもしろい発言をしているクタタンから。いくつか発言をピックアップ。

「値段が高いことは悪いことだろうか。初代プレステを3万9800円で出したとき任天堂スーパーファミコンは市場で1万円台だったが、みんなプレステに流れた。」

成功者だからできる発言ですが、これを見る限り、39800円以下で出すつもりは毛頭無いみたいですねぇ。へたすると、それより高くなりそう。しかし、SFCとPSのときと、現状ではちょっと次元が違うような気もしますが。PSが本格的に売れたのは値下げしてから何だし。高くても買うのはコアなゲーマー、新しい物好きのデジオタでしょう。(自分はどっちかというと後者です。)

今回はBMWフェラーリのエンジンを載せるようなもの。
任天堂はかわいい新型ファミリアあたりか。

これが、2chのスレのタイトルにもなっていた発言。いや、さすがクタタン、切れまくってますねぇ。めちゃくちゃ失礼な発言ですが、ある意味、的を射ているところがあると思います。
任天堂を「新型ファミリア」とたとえているところがまず。一番パイの大きい、大衆車のところをばっさり切って捨てています。後の版で単なるファミリー車に置き換えられているそうですが、朝日新聞もさすがにまずいと思ったのでしょう。でも、たしかにレボリューションのねらいは大衆車っぽいですよね。
そして、「BMWフェラーリ」というのも、またつぼ。自分でもその奇妙さはわかってるんだ、とw。フェラーリのエンジンはフェラーリの機体に載っているからいいんでしょうに。BMWにのせても単にごっつくなるだけじゃん。クタタンは豪華なんだということをアピールしたかったのかも知れないが、結果として自分の言葉でPS3の無様な点を晒してしまった感じです。

プレステ3という量産商品に搭載することでソフトが増え、技術革新もHDテレビの販売も加速させたい、数が出れば標準規格にも近づく。

これは、PS2と同じ戦略ですね。個人的に、HDの普及に貢献してくれるのは歓迎ですね。放送がHDとなるなか、いつまでもSDが残っているのはいいことではありません。HDが普及し、安価に購入できるようになって欲しいですし。BDは正直、ソフトがない&統一化とかが不透明な現状ではいりませんが。

こうして発言を見ていると、つくづく久多良木の考えとしては、「ゲーム市場の次」を目指している感じです。グラフィックが高性能になって開発費が跳ね上がり、中小ゲームメーカーは生き残れないのでは?という危惧もされていますが、正直クタタンはそれも承知の上でやっているんじゃないかと思います。つまり、現状の映画のような世界、ハリウッドのように一部のプロ集団が豪勢なコンテンツを提供するような世界を気づきたいのではないのかと。バーチャルリアリティというか、インタラクティブな映画というか、そういったものを目指しているように思います。そのためには、現状のゲーム市場を壊してしまってもかまわないと思っているのではないでしょうか。
こうした考えは、僕個人としてあまり受け入れられるものではありません。ただ、久多良木の場合は「明確な意志を持って」やっているので、本当にこうした世の中を築きかねない怖さはありますね。ただ、一時期ほどのカリスマはないので、周りがついてくるかどうか、ですが。

○既存のゲーム市場の生き残りをかける任天堂・岩田

さて、一方の任天堂。こちらも結構首尾一貫してますね。いかにして、「一般に受け入れられるものを作っていくか?という視点」です。

「ゲームは生活必需品ではないから、僕らは小さく薄く、かつ安くして、家庭のだれからも敵視されないものにしたい。」

最近のニンテンドーDSにおける戦略を見ても分かりますが、任天堂は明らかに現状のゲーム市場を悲観的に見ています。かなりの危機感を抱いている訳です。

ソニーがそんなゲーム市場を抜け出して高度なエンターテインメント市場へ脱却しようという意気込みなのに対して、任天堂はなんとかもう一度「ゲーム市場」というものを、妥当な・好ましいモノとして再構築しようという意図が見受けられます。

任天堂は娯楽が好きな人の笑顔が見たい会社、新しいテレビを売ることでも、居間の中心を支配することでもない。」

このコメントなんて、かなり痛烈な皮肉ですよね。でも、任天堂には、自分たちがよりどころにしている「ゲーム市場」という庭を荒らされたことについての憤りがあるのだと思います。

しかし、そんな岩田社長の言葉で、自分が非常に残念だったのが以下のところ。

「ゲームソフトをHD対応にするとモデルの作り方から背景まで全部やり直しで開発費が膨らんで値上がりするが、HDテレビで見ない大多数の人には無駄なことだ」

この発言から、事実上RevolutionのHD対応の目がなくなったと見ていいでしょう。これは本当に残念ですね。実際に大型TVを見慣れている人なら分かると思うのですが、液晶TVやプラズマでのSD表示は、本当に汚いです。また、PS2なんかも、解像度が低いためにジャギが目立ったしまいます。これが次世代機になっても続くなんて、僕は我慢できませんね。まあ、GCD端子をけずったりしていたところから、岩田のテレビ感、AV感が弱いということはある程度分かってましたけど。
たしかに、MSの16:9前提のゲーム作りが問題があるのは分かってます。でも、それでも出力だけはHD対応してほしいです。ポリゴン数とか、別に少なくてもいいですから。4:3のままでもかまいません。単に解像度だけ上げて綺麗な出力を得られる仕組みは作っておいてくれないと。これだけは考え直してほしいですね。

上記を見ると、任天堂の姿勢はどちらかというと「守り」です。いかにしてゲーム市場を、安く、手軽で、一般に受け入れられて、市場の広いモノにしていくか、ということに終始しています。nintendogsなども、攻めのソフトのように見えますけれど、これもある意味、一般層をゲームにつなぎ止めるための守りのソフトなんだと思います。
MSは任天堂を「ニッチ」と言っていましたが、個人的にはこちらこそ大衆的な考え方だと思います。どちらかというと、家電で言えば松下の考えに近いですよね。DIGAなども、マニア受けする機能よりも、シンプルで分かりやすく、いろいろ機能があってお買い得、というところで攻め、一気に一般層を取り込んでDVDレコーダ市場を拡大しました。その考えと、よく似たことを任天堂もやろうとしているのだと思います。
そういった意味では、ゲーマーを対象にした戦略の方がよっぽどニッチです。ちょうど、AV市場における高級機のようなもの。ソニーが狙っているのはたしかにこっちで、それはある意味ソニーらしいとも言えますが。

ただ、やはりこの任天堂の思考は、ゲーマーには受け入れられないのではないでしょうか。DVDレコーダでも、まず売れたのは高級機です。そこから一般層が興味を持ち始めて、一気に普及したわけです。一般層へのアピールを重視しながら、コアゲーマーにもそっぽ向かれないものを作り上げる必要があると思います。

○ただ、今のゲーム市場を奪いたいマイクロソフト

で、最後のマイクロソフト。正直ここについては僕は全然おもしろみを感じませんね。単に、既存のPS2の立場に立ちたい、ゲーム市場のシェアを握りたい、という考えしか伝わってきません。クタタンや岩田のような、明確なビジョンが何も見えないのです。本業のOSでもうけているからか知りませんが、彼らのやっていることに、なんの新しいところもなく、つまらないです。坂口博信などを連れてきてるのも、単にPS2のまねですからね。
ある意味、既存のPS2の状態を一番次世代でも再現してくれるところ、という感じはします。それでいい人には満足でしょう。僕は、「つまらない」という印象です。

○まとめ

このインタビューで、各社の思惑は大夫はっきりしてきました。個人的には、どれもちょっといまいちな感じはします。理想は、任天堂の考え+PS3のハード能力でしょうか。現状だと、PS3を選び、なんとかクタタンの暴走がとまってほしい、というところでしょうかね。任天堂がもうちょっとハードスペックにも興味持ってくれるといいのですけど。Xbox360は、現状では興味はないですね。彼らが魅力的になるのは、あくまでシェアトップになったときだけ、つまり現状のPS2のような立場になったときだけでしょう。
さて、このあとは価格や販売時期などの戦略により展開も変わってくるでしょう。動向に注目していきたいと思います。