マリア様がみてる 「妹オーディション」

マリア様がみてる 20 妹(スール)オーディション (コバルト文庫)

マリみて待望の新刊「妹オーディション」。その発売日と言うことで早速購入。帰りの電車で一気に読破しました。いやーおもしろかったです。さすがマリみて。前回の「特別でないただの一日」もおもしろかったですが、今回はいくつかストーリーの進展がみられてどきどきしながら読むことができました。

以下、感想を述べます。ネタバレを含みますので、みたくない方は要注意！

▼感想

今回は、妹オーディションということで、これまでのびにのびていた妹問題が一気に進展を見せました。その対象は由乃がメイン、祐巳がまきこまれて…というものだったのですが、物語後半では、思わぬキャラの妹問題が浮上し、一気に解決していきました。それでは、まずはその中心人物、蔦子×笙子の話から。

▼蔦子×笙子

いやー、本当にきれいにまとまっていましたね。笙子については、非常に根強い人気があり、「二人が幸せになる姿を見たい！」という声をそこここで聞くことができました。そして、この新刊では、それを今野緒雪先生が見事描ききってくれました。笙子の蔦子を思うところや、蔦子が笙子を気遣う心、そして仲良くなっていちゃいちゃしているところとか。非常に理想的です。最後、祐巳が察しがちょっとよすぎるかな、とは思いましたが。それも、イタリアでの蔦子の行動が複線だったんでしょうね。そこの描写が本文でなかったので、最初の印象では察しがよすぎるように思ったわけで。でも、普段お節介しまくっている蔦子が、逆に祐巳におせっかいされる、というのが非常にほほえましかったです。

▼由乃×菜々

由乃の方は、最後の最後までうだうだしてましたねー。途中の暴走っぷりはまあ存分に由乃らしくてよかったのですが。あと、今回は途中で由乃視点になった箇所が数カ所あって、読んでいてちょっととまどいました。いつの間にか祐巳が「祐巳さん」になっていたりして。最初気がつかず読んでいて頭が混乱してしまいました。
結局、茶話会で候補となった人物はいまいちで。「あなた、クビね。」という言葉に笑ってしまった。そして、最後に唐突に有馬菜々登場。だけど、正直これは読めた展開でしたね。最初の方で4姉妹、と言っていて複線がありましたが、その時点で読めました。どうせ末っ子だけリリアンなのだろうと。読めなかったとすれば彼女がまだ中学生だったと言うことでしょうか。まさか、こういった展開を持ってくるとは。由乃が、聖のことを考えていた、というところも、また意味深。

▼乃梨子×瞳子

これも、前巻あたりから特に注目を浴びていた組み合わせですが、今回はそれが爆発ですね。乃梨子が本当に瞳子のことが好きで、思いやっている姿が印象的でした。まさか泣いちゃうとは。そして、この乃梨子の瞳子についての解釈の仕方から、瞳子が祐巳の一番の妹候補であることがはっきりしましたね。祐巳×瞳子属性の自分としてはこのましいことです。
瞳子も、陰口をたたかれて、意地をはって、結局茶話会には参加しませんでした。それは、自分が単に薔薇様になりたいだけ、と言われるのが悔しい、とか、祐巳を思っているのに祥子ねらいと解釈されるのが気にくわないとか、いろいろな要素があるとは思います。ただ、これに関しては今野緒雪先生が、後書きでちょっとネタ晴らししてる感がありますね。もし茶話会に出て、それでも自分が選ばれなかったら…、そのことで傷つくことをおそれた、というのも一因だと思います。なかなか複雑な心境のようで、このあたりをどうやって祐巳が解きほぐしていくのかが、今後の話の肝になるんでしょうね。

▼祐巳×可南子

こちらは、非常にすっきりした終わり方になりましたね。前巻のばたばた劇でとりあえず祐巳が神格化されていた訳が解明されていましたが、今回はそれを本人が祐巳に告げ、なおかつ妹にはならない、とすることで、二人の関係がすっきりと終わりを告げました。なんとなく男女の発展的別れ話のようで、ちょっともの悲しい感じがよかったです。自分は正直可南子は電波でかなり嫌いなキャラでしたが、今回のこの話はよかったです。

▼祥子×令

祥子は今回は大人でしたねぇ。茶話会であっさり引いた所なんか特に。瞳子に自分に素直になれ、と諭したり。レイニーブルーのときのへたれ具合は影をひそめています。
一方、令はほれぼれするほどのへたれっぷりでｗ。最初の、オーディションの話のばたばたなんて、まるで漫画です。やはり、へた令の称号ははずせそうにありませんね。

▼総括

全体として、非常にマリみてらしい話でおもしろかったです。一番進展したのが蔦子×笙子でしたが、待ち望んでいた話だったけどしっかり書かれなさそうで不安だったものをきっちり消化してくれたのは好感が持てます。祐巳×瞳子も、あとは祐巳が瞳子を必要と思うエピソード、瞳子が自分の気持ちに素直になるエピソードが必要ですが、スールになるのはほぼ確定でしょうか。由乃×菜々は…うーん、読めませんねぇ。もし本当にスールになるのだとすると、祥子が卒業してからなので、原作では書かれないように思われます。祥子卒業で最終回でしょうから。
この後はバレンタイン、卒業と続いてきます。次はいったいどういったイベントで来るか、楽しみです。