SCEI、PSPのボタンが元に戻らない問題を確認。無償修理を実施

PSPの□ボタンが戻らなくなる問題、既に久多良木健社長の「それは仕様だ」発言の記事id:wapa:20040121で、すでに金型の故障が明らかにされていましたが、それから1ヶ月、ようやく交換対応へと乗り出しました。
公式の案内はこちら。PlayStation.jp | サポート
この案内自体は昨日の時点で出ており、その対応の概要は以下のようなもの。

・金型不良によるバリによって□ボタンが戻らなくなることを公表
・2005年出荷のものは直っている
・不具合発症時は、着払いでプレイステーションクリニックまで送付してほしい

この内容を見て、昨日の時点ではまあ「ふーん」と言う程度の印象だった。そもそも、金型の不良はもう仕様というレベルでなく、回収交換して当然のものであるし、その対応は行って当然。着払いを受け付けているのも、及第点だ。
しかし、今日、表題のGAMEWatchの記事を見て、印象ががらっと変わった。

 同社では、シリアル番号で不具合のある製品を特定できないため、□ボタンの戻りが悪い製品については修理を実施する。

…は?『シリアル番号で不具合のある製品を特定できない』だぁ?ありえないだろ、それ!
問題が金型の不良であると特定できるのであれば、当然その問題の金型で作成したPSP本体は特定できるはず。ソニーほど大きな会社が、各パーツのシリアルを特定できないなどあり得ないことなのだ。そもそも、製造業の多くが取得してるISO9001では、各作業工程における細かな情報をすべて文書として残しておくことがマニュアル化されているという。これが守られていなければ、ISO9001を取得できないはずなのだ。
ISO9001とは
ソニーも、当然これを取得していることだろう。そのソニーが「シリアル番号が分からない」ということは、「自分たちはISO9001をまじめに守ってませんよ〜」とおおっぴらに恥も外聞もなく言いふらしているようなものな訳だ。
正直、本当はシリアル番号を把握しているのだと思う。それを公表しないのはなぜかと言えば、単に問題を大きくしたくない、積極的に修理したくないからなのだと思う。実際、□ボタンが引っかかって完全に戻らなくなる人は少ないのだろう。たまに戻らない、という程度は結構あるようだが。この状態であれば、「希望者だけ修理」という対応にしておけば、おそらく対して交換を申し出る人は少ない、と踏んだのだろう。実際、交換対応でなく、修理対応であるので、「しばらくPSPが遊べないのも面倒だから」という理由で修理申し込みしないユーザが多いことは想像に難くない。
実際、GAMEWatchの記事では、以前クタタンが口にした以下の発言が出ている。

なお、この工程は既に見直されており、「2005年以降の出荷分はこの問題は解消されている」としており、この問題で修理依頼があったのは「2004年に出荷した51万台のうちの約0.6%」(同社)としている。

つまり、SCEから見ればほとんどのPSPで不具合が起こりうるのに、所詮ユーザがクレームを言うのはほんのわずかだ、と高をくくっているのだろう。
しかし、これがもしシリアル番号を公表して、大々的に修理を呼びかけるとなると、只でさえ設計そのものに問題のある□ボタンについて、交換を申し出るユーザが多数出てくるだろう。現時点でさえ、まともに出荷できていないのに、この段階でそうした交換騒ぎになってしまっては致命的、とでも考えたのではないか。だったら、消極的な修理対応でお茶を濁そう、ということなのだろう。
もしそうだとしたら、本当に嘆かわしいことだ。目の前の利益に目をくらみ、肝心の企業価値、企業イメージというものを損なってしまっているのだから。ポポロクロイス物語の件でも不具合を認めていないように、ある意味SCEのポリシーはしっかりしているとは言える。駄目な方にだがw。こんな姿勢で、本当に消費者がついてくると思っているのだろうか?少なくとも、自分の周りの友達に聞いた限りでは、100%あきれられている。
ゲーム屋店長:ぶ〜らぶらの記事を見る限りでは、販売店すらあきれる対応のようだ。そもそも販売店にアナウンスが出ていない時点でも、積極的に修理したくない、という、嫌々な姿勢が見て取れてかっこうわるい。ソニーが懲りる日が来るのか?商品企画力で目をそらし続けることができるのか?それともそのまま失墜してしまうのか。現在、大きなばくちを連続で実施中です。…正直、ばくちを打つところが間違っていると思いますが。