任天堂、GBA SP用MPEG-4/MP3対応SDカードプレーヤー

モバイルで動画視聴、と言えば、まさしくPSPの売り文句ですが、それに対して任天堂が、強力な対抗馬を持ってきました。
GBASPNDSに対応した動画再生カートリッジ、その名も「プレイやん」。
…なんか脱力系なネーミングですねぇ。でも、センスは悪くありません。まだ仮称ですが、このまま行ってもいい気がします。
さて、この「プレイやん」の特徴は、以下のようなもの。

GBAカートリッジを使用し、GBASPニンテンドーDSに両対応(なぜかGBAは非対応)
・SDカードスロットを装備。
・音楽:MP3再生可能
・動画:SD-Video規格の動画(asf)を再生可能
・動画再生4時間、音楽再生は液晶OFFで15時間、液晶表示時で8時間
サスペンド対応

なかなか気合いの入ったスペックです。感じとしてはV601SHD-snapの再生機能を、そのままNDSで実現した、と言う感じでしょうか。現状世の中に出ているモバイル動画プレーヤーと比べても遜色がありません。PSPも、本体にH.264デコーダはついていますが、まだH.264でまともに変換できるソフトがないので、結局現状はこのプレイやんと同じく、MPEG-4です。条件としてはほぼ同等です。
この「プレイやん」の特徴について、いくつか自分なりの解説、分析を加えてみたいと思います。

○SDカード対応

PSPと比較したメリットとしては、何と言ってもSDカードの採用にあるでしょう。miniSDでなく、SDカードであることもポイントが大きいです。PSPメモリースティックという、今では少数派のフォーマット、しかもそれでいてDuoという小さいメモリを採用しています。このため、大容量のメモリを買おうとすると、約3万もの値がつくことになります。
一方、SDカードは大きさも大きく、またベンチャーによる安価な製品も多く存在します(質は、お世辞にもいいとは言えないけど…)。SDカード1Gで、ノンブランドなら最安で約8000円。メモリースティックDuoとは大きな違いがあります。
MPEG-4で動画を楽しみたい場合、個人的な感覚としては384kbps以上のビットレートが必要だと思います。そうすると、30分番組で約100M。映画1本入れようと思ったら、約400Mがいります。そう考えると、できれば512M以上のメモリがほしいところ。そうしたときに、安価なSDカードが使えるというのは非常に大きいです。デジカメなどで、すでにSDカードやリーダを持っている人も多いでしょうし。

○SD-Video形式の動画対応

一方、もう一つ、特徴的なことは、SD-Video形式のMPEG-4をサポートしたと言うことでしょう。正直言って、この決断はメリットもあり、デメリットもあります。
○メリット
まずはメリット。それは、すでにこの形式で、録画番組を自動生成or変換してくれる製品が複数存在すると言うことです。自分が把握しているものとしては以下のものがあります。
・AV機器
 Panasonic DIGA E500H、E200H →URL
 SHARP Galileo HG02S→URL
・キャプチャーボード
 カノープス X Transcoder (MTVシリーズ、MTVXシリーズ用) →X Pack Plus kit

DIGAは現状では最上位E500Hだけが動画変換できます。(※SDカードスロットがついていても、売れ筋のE330HやE250Hでは動画は作れないので、要注意!)録画時にオプションしておくことで、MPEG-2の通常録画と同時に、SD-Video形式動画をリアルタイムで生成してくれます。
GalileoはDVDはついていません。また、ASFも録画時ではなく、録画完了時に自動的に変換します。
カノープスのX Transcoderは、単体でも動作しますが、キャプチャボードMTV用のFEATHERなどとあわせて使用すると、録画時にバックグラウンドで変換してくれる、「追っかけ変換」という機能があります。
これらの製品は、どれも録画とSD-Videoへの変換を自動的に行ってくれます。現状では、MPEG-4への変換には結構時間がかかってしまうので、こうした商品が歩かないかは、実際にモバイル動画を見ようと思うかどうかに、大きく影響することでしょう。そうした意味では、このSD-Video対応はよかったと思います。
なお、オフラインでSD-Videoに変換するソフトもいろいろあります。それについては、以下のページが分かりやすくまとまっているので参考にしてください。ビットレートと時間からファイルサイズを計算するフォームも用意されていて便利です。
V601SH (゜∀゜) vodafone v6 series by sharp / 動画
×デメリット
一方で、デメリットもあります。それは、SD-Video形式のASFは、世界的にはあまりメジャーな規格でない、ということです。それは、携帯電話にも当てはまります。携帯電話での主流は、3GP(FOMAVodafone)や、3GP2(au)といったMP4というファイル形式です。そもそもASF自体がMicrosoftの独自フォーマットであったのに対して、MP4はQuickTimeをベースとして、現在はMPEG4のシステムフォーマットとして国際規格となっています。ちなみに、PSPもこのMP4を使っています(なぜかソニー独自な設定で使用していますが)。
3GPは、携帯電話のムービーメールなどでも使われているため、基本的に最近の携帯電話でならどれでも再生できます。そうした意味で言うと、作成した動画ファイルの再利用性がこちらの方が高いわけです。
また、もう一つ弱点と言えるのは、音声。SD-Videoは、一応WMAやMPEG2AACなども使えることにはなっていますが、通常よく用いられるのはG.726というフォーマットです。上記であげたソフトや機器でも、基本的にG.726です。このG.726というのが、基本的にモノラルAMラジオ相当の音質となります。具体的にどの程度の音なのかは、以下のカノープスのサンプルページで視聴して頂ければ分かると思います。
SD-Video 動作テストサンプルムービー
実際に、「プレイやん」でどの音声フォーマットがサポートされているかはよく分かりません。ただ、動画を作る側がG.726なので、この制限に縛られてしまうことになります。公式ページプレイやん(仮称)を見ると、MP3音声も可能な感じがしますけど…。(でも、MP3をつかうと、SD-Video準拠とは言えないのよね。また、MP3音声のSD-Video作る環境も、シャープのポータブルAVプレーヤー/MT-AV1ぐらいしか、思いつかないし。)
とは言っても、音楽を聴くのであればともかく、動画を見るのであれば音声も話し声などが多く、G.726でも結構聞けちゃいますけどね。
以上のような、メリット、デメリットがあるわけです。できればMP4にも対応して欲しかったところです。

○まとめ

ともかく、自分としてはすでにVodafone東芝携帯V601T用に256MのSDカードを持っており、カードリーダもあります。また、MTV2000を所有しており、XPackもあります。当然ニンテンドーDSもあります。要するに、「プレイやん」で見る動画を作る環境はすでに整っている訳です。
現状からわずか5000円の投資で、モバイル動画プレーヤが手にはいるのですから、これは手を出さないわけにはいきません。PSPも興味があり、動画再生目的で遊びで買ってみようかと思っていましたが、特に大容量メモリースティックDuoがネックになっていました。ですので、とりあえず、安いこの「プレイやん」でモバイル動画を楽しんでみようと思います。
※とはいっても、何を外に持ち出すかが問題ですが。さすがにアニメを外で見るのははずかしいし、かといって、それ以外に外で見る必要があるものがあるか…。朝のニュースとかを早朝に録画・変換させておき、それを行きがけに見る、というのはありかも知れませんが。ニンテンドーDSの液晶の視野がせまいのも、外で見るには好都合だしw。