新選組!「観柳斎、転落」

今日は武田観柳斎の話。もっとおもいきり武田がだらしなく死んでいくのかと思いましたが、思った以上に切ない話でした。さすが三谷幸喜、単なる死なせ方はさせないねぇ。
冒頭、とうとう近藤たちも御直参に。近藤勇に限っては旗本扱いですよ。最近ちょくちょく「風雲児たち」をよみすすめているだけに、この御直参の重みはだいぶ理解できるようになってきました。戦国の世が終わり、身分だけですべてがきまってしまう時代。徳川の家臣であることのステータスは何者にも代え難いと思う。近藤と土方歳三が抱き合って喜ぶのも仕方がないでしょう。とくに多摩の時代からみているこちらとしては、一農民が本当に武士になってしまうだからすごいことです。しかし、人に見られそうになってあわてて取り繕い、いなくなったらまた抱き合うところなんてまさにギャグだよなぁ。ほぼ日曰く「ハタノアト」でこれだけ笑ったのは初めてかも。
さてOP明け。武田観柳斎、リストに名前がなかったのに土方と同じ役職もらってます。
さて、一方出てきたのが谷周平。うわぁ、干されたと思ったらまだいるよこの人。すっかり井上源三郎の息子のようになってます。ここで、島田魁が、自ら志願して平隊士をしていることを告白。そうか、死体処理とかばかりしていたのは望んでやっていたことなのかw。段だらの羽織が着れればいいと。あの隊服は史実じゃ隊士に人気無かったというだけにちょっと違和感。
近藤と土方の会話。御直参になったからには、もう法度はやめようと。やっと、やっと法度無くなりますか。この言葉を聞いて、思わず山南敬助、河合のことが思い浮かびじーんとしちゃいました。しかし、すでにひずんでしまった新選組では、これがすんなりいかない、というのが今回のテーマか。
永倉新八原田左之助のある意味問題児コンビが武田に不服を。結局武田がよびだされて文句言われる。見廻組格で、と言われ、武田は思わず切れて全部返上しちゃう。これがまずひずみ第一歩。尊皇攘夷の思想を強く持ち、御直参になることに抵抗感を覚える隊士が、武田のこの返上を勘違いして、武田に相談してしまう。頼られた武田、うれしくなって思わず、御陵衛士に行けば良いと行ってしまう。ああ、先週取り決めしたのしらねぇのなぁ。隊士たち、すっかり信用しちゃって、置き手紙を残して出て行ってしまいます。
案の定、伊東甲子太郎は受け入れない。藤堂平助もフォローしきれず。武田、ばつが悪くなってさっさと帰ってしまう。ああああ、なんて小心者なんだ。責任ぐらいはとろうよー。結局、隊士たちは戻れば切腹と思って京都守護職屋敷へ。近藤はもう法度は適用しない、と考えていたのに、隊士の側ではわかっていないのですね。結局、近藤が駆けつけた時にはすでに切腹。なんでこううまくいかないかなぁ、というのが近藤の顔からもよく分かりました。武田、帰ってきたはいいものの、隊士の視線が痛々しい。
場面変わって、坂本竜馬沖田総司らから逃げてます。そのときに、沖田が薄汚れた武田を発見。どうやら脱走していた模様。小さな屋根付きのところに居着いている模様。あの河合の騒動の原因となった本をみて回想。アレを手みやげに、伊東のところに入ろうと思ったが、伊東はすでに別に購入済み。「手間をかけさせてくれたな」と冷酷に言い放つ。もう、徹底的に見下してますなぁ。周りにも頭がよくてこういう奴いるけど、むかつきますな。自分より頭が悪い奴を見下す奴。やっぱ伊東は嫌われ役だ。回想しながら鼻をすする観柳斎が非常に惨めで哀れだ。
場面は変わってまた坂本竜馬斉藤一に従って部屋にはいると伊東が。一方、佐々木只三郎捨助に命じて坂本の居場所をさぐるようにと。いよいよ佐々木が竜馬を斬りますか。
さて、緊迫した永倉たち。何かを見つけた様子。てっきり生でみているときは竜馬たちを見つけたかと思ったら…種明かしは最後にあったw。
伊東さん、すっかり尊皇攘夷の人です。しかし、竜馬は相手にせず。カンパニーとか知らない言葉使われてちょっときずついてる伊東。帰る竜馬に護衛として藤堂をつける。うわー、完全に新選組と対立しちゃうじゃん。早くもこうした事態となるとは。
さてさて、観柳斎。今度は薩摩藩邸へ。新選組で軍師だったことをうりに雇ってもらおうと必死。しかし、西郷、会津藩の動きを持ってきてくれたらやとってやると。それって、完全なる裏切りじゃん。
さて、竜馬、西郷隆盛と話し合い。薩摩はすっかり倒幕のご様子。ここで坂本、大政奉還の案をどどーんとぶちあげる。うーん、発想がすごいよなぁ。しかし、坂本の案では徳川家を政府の中心に招くというもの。これは薩摩にはあわないのよねぇ。西郷、倒幕の大義名分代わりにしようとする。そして西郷、坂本を今にも斬るかのようなコメント。「もったいなか」うわー、今までで一番こええよ、西郷さん。
さて、居着いていたところに戻ってきた武田、土方と沖田に見つかります。そりゃ、沖田に見つかったところにいつまでもいたら見つかりますって。近藤に詰問、説教され、やけになって切腹命じろと言う武田。しかし、この後の近藤の台詞がかっこいい。
「死んでいくものに、説教などはせん!」
そして、結局生きて償えと。周平のときから土方以上に冷めてる沖田は当然納得行かない様子。夜、武田が抜け出す。後をつける沖田。てっきり薩摩藩か屯所に行くかとおもったら、違った。沖田がばっさり手荷物を斬ると、そこには果物。
「誰に食わせるつもりだったんですか」
と聞かれて、武田が見上げた先には、なんと河合の墓が。武田は武田なりに負い目を感じ、ちょくちょく見舞っていた様子。薩摩藩の件も、武田自ら、そこまではやらないと告白。沖田はすっかり毒気を抜かれてしまいます。近藤たちが正しかったのだと。そして、そのまま立ち去ってしまいます。しかし、これがまずかった。
ここからは予想された通りの展開。ここに出てきたのは大石鍬次郎。背中からばっさりと。武田、弱いけれど必死に抵抗し、場面は変わります。
沖田が駆けつけると、すでに武田の死体が…。本当に、うまくいかない、なんともならないという感じ悲しかった。
この新選組!での武田観柳斎は、見栄っ張りで小心者だが、人一倍向上心を持ち、何か日本のために力になりたいと動いていた。ただ出世したい、腰巾着やろうではなく、等身大の一人物として描かれていることに、非常に感動した。捨助はいやなやつのリアリティがあったが、武田も武田でリアリティがあった。
しかし、なんで最後の新選組が行くは坂本竜馬かなぁ。今日の話からしたら武田だろうよ。谷三十郎だって特集してもらったのに。不憫な。
来週は早くも坂本竜馬暗殺のようだ。ちょっと急すぎる感が。果たして斬ったのは佐々木か西郷か新選組か。どんな最期を迎えるか注目だ。