新選組! 「友の死」

まず開始前に番組の宣伝。「この笑顔にもうあえない」って;;
そして番組冒頭。近藤勇が、沖田総司に「なぜおまえを選んだか分かるか」と。「みつからなければ帰ってこい」と。なるほど、近藤は山南敬助を見逃すつもりだったのね。
しかし、沖田はあっさり山南を発見してしまう。何で出てくるんだよ、って感じ。
そして、沖田と旅館で話し合い。沖田に攻められて「怒られてしまった」って苦笑する山南がかわいいw。逃げてしまえと言う沖田に、山南は、見つかってしまった以上、戻るという。なんで逃げないんだよー;;。
そして明里との会話。ここで身請けしたことを告げる。そして、自分は戻るが明里には丹波へ行けと。いつかいくからと。「ほんまやな?」と聞かれて、「…ほんまや」と答える山南…。うあああああ、泣ける…。
戻って来た山南に、「なぜ、戻ってきた」という近藤。本当、なんでもどってくるんだよぉ。・゜・(ノД`)・゜・。。そして、山南は淡々と自分の本心を述べる。
「私はあなたと出会い、そしてあなたに賭けた。近藤勇のため、新選組のためにこの身を捧げてきました。…しかし、それはもう、自分の手の届かないところへ行ってしまった…。ここにはもう、私のいるべき場所はない。」
山南の無力感を出した言葉。土方のやり方が、きついなりにも大局的に見れば正しいと思いながらも、感情的について行けなかった。だからこそ、居場所がなかった。そんな自分の弱さが許せなかったのだろう。
近藤勇
「こうなる前に、あなたの思いに耳を傾けることができなかった自分を、恥じ入るばかりです。」
本当に、そうだよなぁ。もっと真剣に、念入りに山南と話し合っていたならば、こうした結末にはならなかったはず。近藤も、外にばかり気が行っていて、中の人々のことに目がいっていなかったのだろう。残念でならない。
しかし、そんな近藤に、山南は優しいお言葉。
「その言葉が聞けただけでも、本望です。」
・゜・(ノД`)・゜・。
合議。やはり永倉新八原田左之助は異議を唱える。しかし、土方とりあわず。そこで空気の読めない伊東甲子太郎、口を挟む。
「新参者が口を挟むなと言われそうだが…、土方君、厳しさだけが、人の心をつなぎ止めておく、唯一の方法だろうか?温情を与えることも…」
おっと、甲子太郎、温情主義ですか?なんか土方に異議唱えたかっただけ?それに対して、つっこみキング土方歳三
「新参者は、口を挟まないで頂こうか」
さすがですw。
武田観柳斎が「処分はすでに決まったこと」と言うところに、永倉が局長の意見を聞く。観柳斎が決まっている、といいそうなところを永倉が怒鳴りつける。
「うるさい!決まったとしても、俺は局長の口から聞きたいんだ!」
相変わらず、ピエロです、観柳斎w。近藤は「覚悟を決めている」と。
そして、その後、隊員の松原忠司、河合、尾関が土下座して延命を願う。それに対し、言われなくても分かっているが立場上許せない土方が切れる。
「うるせぇんだよ!一緒に腹切りてぇのか!」
もう、素直じゃないなぁ。どうしてこう言っちゃうのか。
そして、切腹について。介錯斉藤一に頼んだという近藤に、山南は沖田君がいいと頼む。大河ドラマストーリーだと、ここは近藤が最初から沖田に頼んだ事になっているが、こっちの演出の方がいいね。近藤は介錯上手な斉藤を指名、山南は思い入れのある沖田を指名という感じで。
久しぶりに八木家の方々登場。山南の延命をはかるが、結局「それはあなたが言うことではない」と取り合わない。
山南、仕事の引き継ぎ。すてきな笑顔で説明する山南に、河合達は涙が止まらない。しかし、河合への忠告がちょっと痛いねぇ。このあと、実際に河合はこの金の貸し借りで失敗して切腹するわけで…。
さて、山南の部屋の前で島田魁が見張り。そこへ永倉と原田がやってきて、土方が呼んでいると。島田首をひねりながらも土方のところへ。そして、その隙に山南を苦そうとするが、山南はすでに覚悟決めていて聞かない。
「身勝手と言われるかもしれないが、あなた方には、これからの新選組と近藤さんを見届けてやってほしいのです。」
そして、幕府が立て返すか、別勢力が出てくるか、そのことにもふれる。十分先のこと考えているじゃん。そういう考えが今後も新選組に必要なのに…・゜・(ノД`)・゜・。。
永倉には「そばにいてやってほしい」、原田には「底抜けの明るさが必要になってくる」と。これはまさに、山南の遺言。この先隊を離れる二人は、どのようにこの遺言を守ってくれるのだろうか?その後の、これまでにないほどの満面の笑みが痛々しくて、痛々しくて・゜・(ノД`)・゜・。。
「これからの新選組は、ご両人にかかっている!」
もうね…、泣くしかない…。
島田、土方のところへ。呼んだ覚えはないと土方。しかし、ふと永倉らの意図に気づき、島田を呼び止める。なーんだ、土方もまだ山南さんを助けたいと思っているんじゃない。山南の死で土方が完全悪役になってしまうかと思ったけど、こうしたエピソードの作り方が、三谷幸喜さんいいね。
そして、取り出したるは石田散薬。今すぐ酒と一緒に飲めと。しかし、その効能を、観柳斎を見ながら、「背が伸びる」というのが良い。武田観柳斎、ピクってなって、ずっと注目。ピントが合ってない中の視線が笑える。そして、島田がいなくなって直後、即座に土方のところに来て、さわやかな口調で。
「みせて、頂けますか?」
うわははは。
ひで、沖田、斉藤が会話。ドラマストーリーだと、どうも沖田は斉藤に介錯の方法を習っているところらしい。生々しいから抜いたのかな?ひでが、土方のことが嫌いになる、というところへ、斉藤がフォロー。めずらしい。沖田も、芹沢に引き続き、自分で好きな人を斬ることになり、やりきれなそうだ。
さて、山南のところは今度は源さん。また島田がだまされて出て行く。飯を持ってきた源さんに対して、山南は「切腹の時見苦しくならないだろうか」と冷静につっこみ。このあと、おむすびを持ってかえってもらうのだが、このシーンはどういう意味だろう?このおむすびに何か、脱出用のアイテムが入っていたのか?それとも自決用の毒?ちょっとこのシーンの意味がわからなかった。
次に来るのはなんと明里。さすがに山南動揺。謁見は近藤が同席。一緒に丹波に来てほしいという明里、いけないという山南。見かねた近藤がフォローを入れるも、明里だだこねる。そこで山南が一喝。
「わがままをいうな!」
おお、池田屋事件以来の叫びです。そのあと、いつか行くという嘘を笑顔でつく山南に、近藤は耐えかねて出てきて泣く。
そして、とうとう切腹の時。白装束の山南。小窓がたたかれたのに気づき開けると、なんとまた明里。菜の花を見つけたと差しだす。序盤に「この時期に菜の花は咲かない」と言われたことを受けて。
「菜の花やろ?」
「…菜の花だ。」
「うちのいうてたとおりやろ?」
「…私の負けだ。」
これから死ぬ、というときに、こうした心和むやりとり。すてきだ。山崎烝が送り届け役。山南がよろしく頼む。そして、山南はゆっくり窓をしめる。
その後の明里の会話が泣ける。
「なにしでかしたん?切腹するんやろ、これから?…そやかてあれ、死に装束やもん」
窓を山南が開けた時点で、明里が気づいたかと思ったが、明里が明るかったので分かってないと思っていたら、やはりきづいていた。なのに、馬鹿だから気づいていないふりするなんて…。
「先生は、人の道にそむいたわけではない」
山崎、精一杯のフォロー。知っていたのか、と聞く山崎。
「うちが泣いたら、あの人悲しむだけやろ?ほやからだましてやったん。先生もすっかり信じ込んで…。案外、あの人もああ見えて、しんじやすいんやな」
泣きながらいう明里。すてきだ。「アホや」と言って、泣きながら歩き出す、明里、はなれて従う山崎。いいシーンです。このシーン、ドラマストーリーだと、最初の近藤がいるときの会見で部屋の隅にある死に装束を見て気づくことになっているが、こっちの方が全然いい演出だね。後の「新選組が行く」でも、実際にあった事みたいだし。
山南のところへ、土方登場。「なぜ逃げなかった」という言葉はなく、目で語って去ろうとするところ、山南が見透かしたようにコメント。
「悔やむことはない。君は正しかった。私を許せば、隊の規律は乱れる。私が腹を切ることで、新選組の結束はより固まる。それが総長である私の、最後の仕事です。」
・゜・(ノД`)・゜・。そのあと、山南を見る土方の目が悲しそうで。
そしていよいよ切腹。みなの目の前で。目の前で友人が死ぬ、ってどういう気持ちだろう。しかも自分で作ったルールで。なんでこんなことに…。服を脱ぎ、短刀に紙をまき、準備。紙を巻く様もまた格好いい。
「声をかけるまで、待つように」
この前の葛山とは大違いですな。思わず、武市半平太みたいに三段切りとかやるのかと思った。
そして、勢いよく切腹に移る。近藤、すでに目がうるうる。土方もうるうる。山南、ついにぐさっと。うわぁぁぁ・゜・(ノД`)・゜・。ゆっくり、ゆっくり切腹。相当な激痛なのに、立派だ。隊士の顔のアップ。斉藤、すげえ悲痛な表情。
山南、さらに切り進め、斬りきったところで、かすれた声で「沖田君」と。沖田は、一国も楽にさせようと、ためらいなく一閃。山南敬助、享年33歳、武士らしい、見事な死であった。
事の後、近藤と土方が悲痛な面持ちで軒先でたたずむ。そこへ、なぜか空気読めない甲子太郎登場。よせばいいのに、いきなり一首詠み出す。
「春風に吹き誘われて山桜 散りてぞ人に惜しまれるかな」
お、なかなかいい句、とは思ったものの、やはり空気読めていないことには変わりなく。
「あなたに、何がわかると言うのだ!」
近藤ぶちぎれ。近藤に怒鳴られてちゃおしまいだよ、甲子太郎。何がまずかったんだろう、みたいな顔して甲子太郎退散。そして、近藤の叫びで緊張の糸が切れてしまったのか、なんと土方が号泣。しかも、これ以上ない、と言うぐらいの情けない表情で。でも、これぐらいみっともなく泣くところがリアリティがあって、泣ける。新選組のため、新選組のためと鬼の副総長を演じてきた土方。その背伸びしていたものが、近藤と二人でいるところでとうとうはじけてしまったのだろう。この大河の土方は、大天才という感じではなく、普通のちょっと賢い若者が、組織の中で精一杯がんばっている感じがよくでている。今までの土方とは違うかもしれないが、こういった人間くさい土方もいい。